“日本語検定2級”の留学生
2002年11月12日 1週間前、寒風吹きすさぶ中、僕は奈良県の生駒まで出掛けた。
今ドラフトでタイガース、もしくはファイターズからの指名が予想される近畿大・林威助(りん・うぇいつー)外野手のインタビューがあった為である。
林は名前から察することも出来るが、台湾から海を渡って来た留学生。7年前、名門・柳川高(福岡)に入学した後に近畿大を経て、来たるべきドラフト当日を迎えようとしている。
ちなみに日本国籍を持たない選手は、日本の教育機関に4年以上(昔は5年であった)在籍した者ならばドラフトの対象選手と認められるとともに、プロ球団に入団後も“外国人選手枠”には該当しない。
今回は林の詳細な球歴は割愛させて貰い、慣れない異国の地でプレーして来た林を追い掛けたい。
まず、最も苦労したのが言葉だと語ってくれた。来日を決めたものの、日本語の勉強は全くしておらず、挨拶もままならない状況であったらしい。また、林より1年先に台湾から柳川高に留学していた同士が3人いたのも、来日当初、日本語の勉強を疎かにした背景となっていた。しかし、林はフッと気付いた。確かに、野球はパフォーマンスで勝負するもの。ただし、このままでは来日した意味がない。チームメートと積極的に会話を交わすことで、コミュニケーションが取れれば、もっと野球が楽しくなるのではないか。もっと野球が上達するのではないかということに。そこで、林の日本語習得の猛勉強が始まったのだ。毎晩、夜中までドリルを広げて、ボキャブラリーを増やす。そして、チームメートと会話をすることで意思が伝わらない原因を解消。次第に言葉と心が通い合う喜びを見出したのだ。
「日本語はとても難しいですよ。例えば、シートノック。外野手の僕がセカンドに返球する時、周りのみんなは『ふたつ〜!』って言うんです。サードは『みっつ〜!』、ホームだったならば『よっつ〜!』です。『ふたつ〜!』って、どこ? 僕はどこにボールを投げたら良いの? そんな感じでしたからね(笑)」
そのような過去の苦労を笑いながら話す林も、現在では“日本語検定2級”も取得。プレーするうえでは勿論のこと、日常会話で困ることもほとんどないと言う。時折、チームメートに
『なんでやねんっ!』
と、流暢な関西弁でツッコミを入れられる程、上達しているのは微笑ましい光景だ。
言葉以外にも、食事や生活習慣。先輩、後輩との接し方にも戸惑いを覚えたことがあったらしい。だが、林は地道に日本での生活に適応。そして、夢の一つである“プロ野球選手”になる日が近付いている。
インタビューを開始した際、僕はいかにも日本語的と受け取られるような“言い回し”をしないようにと配慮していた。でも、それは無駄かつ余計な気遣いであったようだ。逆に
『なぜ、この仕事をしているのですか?』
『御結婚はしているのですか?』
『台湾に行ったことはありますか?』
林から質問攻めに遭い、予定していたインタビュー時間を大幅にオーバー。榎本保監督、島和也マネージャーには多大なる御迷惑をお掛けしました…。この場を借りて、心からお詫び申し上げます。
残念ながら、僕はまだ台湾に行ったことがない。近い将来、林の生まれた国、熱狂的と呼ばれる台湾野球を目の当たりしたい。そう強く思わせてくれた林との出会いに感謝。
そうそう、林は
『台湾は食事も抜群ですよ』
とも話してくれたっけ。
是非、美味しいゴハンが食べられるところを聞いておかなくては(笑)。
※林威助のリポートは13日発売の『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)に掲載っす!
今ドラフトでタイガース、もしくはファイターズからの指名が予想される近畿大・林威助(りん・うぇいつー)外野手のインタビューがあった為である。
林は名前から察することも出来るが、台湾から海を渡って来た留学生。7年前、名門・柳川高(福岡)に入学した後に近畿大を経て、来たるべきドラフト当日を迎えようとしている。
ちなみに日本国籍を持たない選手は、日本の教育機関に4年以上(昔は5年であった)在籍した者ならばドラフトの対象選手と認められるとともに、プロ球団に入団後も“外国人選手枠”には該当しない。
今回は林の詳細な球歴は割愛させて貰い、慣れない異国の地でプレーして来た林を追い掛けたい。
まず、最も苦労したのが言葉だと語ってくれた。来日を決めたものの、日本語の勉強は全くしておらず、挨拶もままならない状況であったらしい。また、林より1年先に台湾から柳川高に留学していた同士が3人いたのも、来日当初、日本語の勉強を疎かにした背景となっていた。しかし、林はフッと気付いた。確かに、野球はパフォーマンスで勝負するもの。ただし、このままでは来日した意味がない。チームメートと積極的に会話を交わすことで、コミュニケーションが取れれば、もっと野球が楽しくなるのではないか。もっと野球が上達するのではないかということに。そこで、林の日本語習得の猛勉強が始まったのだ。毎晩、夜中までドリルを広げて、ボキャブラリーを増やす。そして、チームメートと会話をすることで意思が伝わらない原因を解消。次第に言葉と心が通い合う喜びを見出したのだ。
「日本語はとても難しいですよ。例えば、シートノック。外野手の僕がセカンドに返球する時、周りのみんなは『ふたつ〜!』って言うんです。サードは『みっつ〜!』、ホームだったならば『よっつ〜!』です。『ふたつ〜!』って、どこ? 僕はどこにボールを投げたら良いの? そんな感じでしたからね(笑)」
そのような過去の苦労を笑いながら話す林も、現在では“日本語検定2級”も取得。プレーするうえでは勿論のこと、日常会話で困ることもほとんどないと言う。時折、チームメートに
『なんでやねんっ!』
と、流暢な関西弁でツッコミを入れられる程、上達しているのは微笑ましい光景だ。
言葉以外にも、食事や生活習慣。先輩、後輩との接し方にも戸惑いを覚えたことがあったらしい。だが、林は地道に日本での生活に適応。そして、夢の一つである“プロ野球選手”になる日が近付いている。
インタビューを開始した際、僕はいかにも日本語的と受け取られるような“言い回し”をしないようにと配慮していた。でも、それは無駄かつ余計な気遣いであったようだ。逆に
『なぜ、この仕事をしているのですか?』
『御結婚はしているのですか?』
『台湾に行ったことはありますか?』
林から質問攻めに遭い、予定していたインタビュー時間を大幅にオーバー。榎本保監督、島和也マネージャーには多大なる御迷惑をお掛けしました…。この場を借りて、心からお詫び申し上げます。
残念ながら、僕はまだ台湾に行ったことがない。近い将来、林の生まれた国、熱狂的と呼ばれる台湾野球を目の当たりしたい。そう強く思わせてくれた林との出会いに感謝。
そうそう、林は
『台湾は食事も抜群ですよ』
とも話してくれたっけ。
是非、美味しいゴハンが食べられるところを聞いておかなくては(笑)。
※林威助のリポートは13日発売の『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)に掲載っす!
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