“再会”
2002年11月15日 彼のことを初めて知ったのは、僕がまだサラリーマンをしていた頃のある暑い夏の日。確か、僕は都内を車で移動していて、環八の大渋滞にハマっていた。しかし、そのおかげで車載テレビによる高校野球観戦に支障がなかったので、むしろ大渋滞を喜んでいた節がある。その時、背番号13を背負ったライトの選手が、不鮮明なモニターの中で呆然とライトスタンドに吸い込まれる白球を見送っていた背中がとても印象的であった。
それから3年半の歳月を経て―。
僕はサラリーマンを辞めて、スポーツライターになっていた。依頼を受けて、同志社大硬式野球部のグラウンドがある田辺キャンパスに向かう。そこで見覚えのある背中が僕の視界に飛び込んで来た。ただ、その背中の背番号は13から1に変わっている。
あの延長17回の大激闘と呼ばれる、第80回全国高校野球選手権準々決勝の横浜高−PL学園高で涙を呑んだPL学園高の主将・平石洋介との“再会”はあまりにも唐突であった。
PL学園高時代の平石は肩の故障(手術も経験)などもあり、常時、試合に出ている選手ではなかった。しかし、同志社大進学後、努力が実ってレギュラーの座に就く。毎シーズン、首位打者争いに絡み、都合4回のベストナインを獲得した関西学生リーグを代表する名選手となる。今夏、イタリアで行なわれた世界大学選手権で関西地区から唯一メンバーに選ばれたことからも、その秘めたポテンシャルの高さが伺える。
平石の取材は楽しいが、緊張してしまう。それは質問に対して、平石があまりにも理路整然と的確に応えてくれるどころか、野球への真剣な想いがダイレクトに伝わって来るからだ。こちらも半端な気持ちで取材に臨んでは、失礼になってしまう。
また余談ではあるのだが、平石はゴッツイ男前である。彫りが深く、端正な顔立ち。
「アイツ、ホンマにええ奴なんですけれども、ムカつきますわ。野球上手い、人望ある、男前。なんで三拍子揃ってんねんっ(笑)!」
平石の中学(ボーイズリーグ・八尾フレンド)、高校とチームメート。あの大激闘の準々決勝でPL学園高の先発投手であった稲田学(大阪ガス)投手が、一緒に雀卓を囲んだ際、冗談交じりにボヤいた。その気持ちはよ〜く理解出来る。僕も平石と同世代ならば、あまりの好漢ぶりにきっとジェラシーを抱いているに違いないからだ。
平石も光原逸裕(京都産業大)同様、今ドラフトで指名されるかどうかは微妙な立場。それでも、
「高いレベルで野球を続けたいんです。通用しないとは思っていない。アカンかったら仕方がないけれども、後悔しないだけのことを積み重ねて来ている自信はありますから」
と、熱く平石は語る。
現在、平石は同志社大の寮を出て、PL学園高最寄りの富田林で一人暮らしを始めた。時間が空いている時は母校で練習に専念出来る環境。授業や内定の出ている社会人野球・トヨタ自動車へも足を運ばなければならないので、相変わらず多忙な毎日ではあるがドラフト当日をどのような気持ちで迎えるのだろうか?
「近々、ゆっくりとメシでも食べに行こう」
と、約束をしているので、その時に聞いてみたいものだ。やや緊張しながら(苦笑)。平石に会うのが楽しみである。
無性にラーメンが食べたくなったので、大学時代にアルバイトしていたラーメン屋に行った。大学卒業後も何度か訪れたのだが、店長夫妻には会えず終いであった。しかし、今日。約10年振りに“再会”を果たすことが出来た。
「元気そうやなぁ。今、何しとんねん?」
「スポーツライターをやらせて貰っています」
「へぇ〜、何に書いてるの?」
「雑誌がメインですわ。あとネット上でもチョボチョボやっています」
心なしか、ラーメンに盛られたネギとチャーシューが多いような気がした。やっぱり人と会うのは嬉しいものだ。
それから3年半の歳月を経て―。
僕はサラリーマンを辞めて、スポーツライターになっていた。依頼を受けて、同志社大硬式野球部のグラウンドがある田辺キャンパスに向かう。そこで見覚えのある背中が僕の視界に飛び込んで来た。ただ、その背中の背番号は13から1に変わっている。
あの延長17回の大激闘と呼ばれる、第80回全国高校野球選手権準々決勝の横浜高−PL学園高で涙を呑んだPL学園高の主将・平石洋介との“再会”はあまりにも唐突であった。
PL学園高時代の平石は肩の故障(手術も経験)などもあり、常時、試合に出ている選手ではなかった。しかし、同志社大進学後、努力が実ってレギュラーの座に就く。毎シーズン、首位打者争いに絡み、都合4回のベストナインを獲得した関西学生リーグを代表する名選手となる。今夏、イタリアで行なわれた世界大学選手権で関西地区から唯一メンバーに選ばれたことからも、その秘めたポテンシャルの高さが伺える。
平石の取材は楽しいが、緊張してしまう。それは質問に対して、平石があまりにも理路整然と的確に応えてくれるどころか、野球への真剣な想いがダイレクトに伝わって来るからだ。こちらも半端な気持ちで取材に臨んでは、失礼になってしまう。
また余談ではあるのだが、平石はゴッツイ男前である。彫りが深く、端正な顔立ち。
「アイツ、ホンマにええ奴なんですけれども、ムカつきますわ。野球上手い、人望ある、男前。なんで三拍子揃ってんねんっ(笑)!」
平石の中学(ボーイズリーグ・八尾フレンド)、高校とチームメート。あの大激闘の準々決勝でPL学園高の先発投手であった稲田学(大阪ガス)投手が、一緒に雀卓を囲んだ際、冗談交じりにボヤいた。その気持ちはよ〜く理解出来る。僕も平石と同世代ならば、あまりの好漢ぶりにきっとジェラシーを抱いているに違いないからだ。
平石も光原逸裕(京都産業大)同様、今ドラフトで指名されるかどうかは微妙な立場。それでも、
「高いレベルで野球を続けたいんです。通用しないとは思っていない。アカンかったら仕方がないけれども、後悔しないだけのことを積み重ねて来ている自信はありますから」
と、熱く平石は語る。
現在、平石は同志社大の寮を出て、PL学園高最寄りの富田林で一人暮らしを始めた。時間が空いている時は母校で練習に専念出来る環境。授業や内定の出ている社会人野球・トヨタ自動車へも足を運ばなければならないので、相変わらず多忙な毎日ではあるがドラフト当日をどのような気持ちで迎えるのだろうか?
「近々、ゆっくりとメシでも食べに行こう」
と、約束をしているので、その時に聞いてみたいものだ。やや緊張しながら(苦笑)。平石に会うのが楽しみである。
無性にラーメンが食べたくなったので、大学時代にアルバイトしていたラーメン屋に行った。大学卒業後も何度か訪れたのだが、店長夫妻には会えず終いであった。しかし、今日。約10年振りに“再会”を果たすことが出来た。
「元気そうやなぁ。今、何しとんねん?」
「スポーツライターをやらせて貰っています」
「へぇ〜、何に書いてるの?」
「雑誌がメインですわ。あとネット上でもチョボチョボやっています」
心なしか、ラーメンに盛られたネギとチャーシューが多いような気がした。やっぱり人と会うのは嬉しいものだ。
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