ドリームチーム

2002年12月4日
《長嶋JAPAN“ドリームチーム”でアテネは金メダル目指す》
 長嶋茂雄(ジャイアンツ終身名誉監督)が日本代表チームの監督に就任した。強化本部長も兼ねており、実質の全権監督。任期も03年11月のアテネ五輪アジア予選、04年8月のアテネ五輪も含め、無期限。“長嶋JAPAN”の長期政権が誕生したのである。

 ここで、あえて長嶋の選手時代に残した実績、功績。監督としての手腕などに言及するつもりはない。また、同様に日本野球界のみにとどまらない日本(殊に高度成長期)に及ぼした影響力に、快活で求心力のある人物像にも触れない。ただ、長嶋の語る“ドリームチーム”とは一体、何なのだろうか? それにだけは素直に頷く気持ちになれない。リップサービスだけが先行。“ドリームチーム”という単語が持つ響きに酔いしれているだけのように思えて仕方がないのだ。
 
 長嶋は強化本部長という立場でこの1年間、数々の試合(高校野球、大学野球、社会人野球、国際大会)を視察して来たと、報じられている。そして、綿密な戦力構想、分析を重ねて、長嶋自身の中でイメージは膨らんだ。世界の舞台で結果(勝利)を残すには、日本球界の最高峰プロ野球からトップクラスの選手を派遣して貰う。シーズンの絡みなどもあるので、現在は各球団から2名までという制約こそあるが、単純に2名×12球団の豊富な人材。その中から、投手、野手と魅力的な“ビッグネーム”を揃える。ジャイアンツで第2次政権(93〜01年)を執った長嶋のスタイルと、基本的に変わり映えしない。それが“ドリームチーム”の構想だと受け取ることが出来る。

 既に候補選手の名前も何人か挙がっており、楽しみな部分もある。豪華布陣がJAPANのユニフォームを着て、日の丸を背負って、戦う姿は魅力的だ。しかし、現状をよく考える必要がある。日本の野球はレベルが高いと言われながらも、00年のシドニー五輪以降、国際大会で辛酸を舐め続けている。その要因をシッカリと突き詰めて、把握しているのだろうか? ただ単純に
「あそこの国はトップクラスの選手を揃えているから、勝っているんだ。日本も“ビッグネーム”をかき集めれば、きっと良い勝負が出来るに違いない」
 その程度の認識で“ドリームチーム”とはしゃいでいるのならば、アジア予選通過も危惧される。
 確かに野球は選手がプレーするもの。時には監督の采配も抜きにして、個々の突出した能力でも勝ち上がれる競技(スポーツ)なのかも知れない。でも、それだけでアジア予選、五輪予選、五輪本選と勝ち進んでは行くのは困難だと思われる。マスコミは短期決戦と報じるが、それは日本プロ野球やMLBのペナントレースと比較した場合であって、むしろ長丁場の戦いだ。そこで、喜びや苦しみを分かち合うのが野球という団体スポーツの一つの醍醐味。

 長嶋本人も重々、自覚しているだろうが、現時点で日本球界の“切り札”。最後のカードが長嶋なのである。それだけに戦う前から、軽々しく“ドリームチーム”を口にして欲しくない。選考された選手が個々の役割を果たし、それを長嶋が束ねる。そして、結果を残して行く。いや、勝つに越したことはないが、国民、野球ファンがJAPANの戦いぶりを観て、夢と感動を覚えた時。初めて“ドリームチーム”と呼べるのでは―。

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