まず、今日の日記は食事をしながら、読まないで欲しい。

 元々、僕は胃腸があまり丈夫な方ではない。加えて、人並み以上にアルコールも摂取する。従って、僕は“軟便系”な男なのである。
 さらに1日平均2〜3回は用を足す“頻便”でもあり、もよおすのは不意な時が多い。だから、ティッシュペーパーは必須の携行品だ。


 10月19日、甲子園球場。関西学生野球リーグ伝統の一戦“関関戦”(関西大−関西学院大)をネット裏から観戦していた。
 この日は時折、小雨がパラついて底冷えするうえに、僕は前夜にしこたまヤケ酒をあおっていた。(友人でもある浦口雅広の引退が原因、11月27日の日記【自分で決める引退】を参照)
 充分に悪条件は揃っている。試合を観ながら、バッドコンディション極まりない腹の具合ばかりを気にしていた。そして、案の定にやって来た。ビッグウェーブが…。
 僕はイニングの合間にネット裏観客席の階段を疾走。関係者出入り口を一気に走り抜けて、一塁側ダグアウト裏にあるトイレへ駆け込む。
 ベルトは瞬時に外せるが、こういう時に限ってボタンの多いジーンズを履いている。それでも、なんとか耐え通して、洋式の便器に座る。やっと訪れる至福の一瞬。(腹はくだしているのだが、本当にくだらない話しだ…)

「ふーっ」
 人間、多いなる安堵感に包まれると視野が広くなるものだ。閉ざされた狭い個室の床、足元に何か落ちていることに気付く。それはケース状のもので“冷所保存 ボルタレンサポ 50mg”と表記されている。
「なんや、座薬の空ケースかいな」
 僕は大学時代に腰椎椎間板ヘルニアを患っていた(後に手術)時があり、痛みを少しでも緩和させる為に同じ座薬を使っていたことがあるので、すぐに分かった。
 ということは、誰かがこの個室で座薬を使用していたに違いない。恐らく、一塁側ダグアウト裏であるから、関西学院大の選手であろう。
 肩、肘、膝、腰…どこに痛みを覚えているかまでは分からない。しかし、現実に座薬を使用している選手が痛みをごまかして試合に出場しているのだ。
 座薬は鎮痛作用に関しては即効性のある薬で、使用している選手も多い。プロ野球選手が
「この座薬、メッチャ効き目あるぞ」
「ホンマ。俺にも少し分けてくれへんかな」
 そのような会話をしているのも聞いたことがある。

 プロアマの垣根を問わず、アスリートは完璧なコンディションでないことが多い。肉体のどこかしらに爆弾を抱え、厳しい戦いの舞台に立っているのだ。そのことを改めて、強く感じさせられた。閉ざされた個室の中で―。

 翌日、僕の腹のコンディションはごく普通の状態。それでも、また試合前に甲子園球場で便意をもよおした。
 前日と同じ個室に入り、用を足す。そして、床に視線を落とすと、座薬の空ケースが2つに増えている。誰だか判明はしていないが、彼は今日も痛みを堪えながら試合に出場するのだろう。

 でも、空ケースは床に放らないで、キチンとゴミ箱に捨てよう。代わりに捨てても良いのだが、拾うのには少し抵抗感がある(苦笑)。

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