写真の力 文章の力
2002年12月26日「カメラマンになれば良かったなぁ〜」
愚かにも、軽はずみな発言をしたことがある。
取材で、カメラマンの方と同行する機会も多い。確かに、重たい機材を持ち運ぶのは大変であるが、取材時に写真さえ撮ってしまえば、大方の仕事は終わり。かたや、僕のようなライターは取材も重要であるが、原稿を書き上げるという非常に困難な作業が待ち受けている。だから、冒頭のような願望を抱いていたのだ。
僕が寄稿した文章には、写真が添えられることが多い。それは取材に同行したカメラマンの撮った写真である時もあれば、出版社が新聞社などから買い取った写真、専属のカメラマンなりが撮り溜めた写真というケースもある。
写真が挿入されることによって、文章は活きる。そう思えるのは、僕自身が書き上げた活字だけの原稿を知っているからだ。ただ活字が羅列されているものよりも、視覚に飛び込んで来る写真がある方が読み易いのは勿論のこと、文章が味わい深いものになる。特にスポーツライティングという分野であると、その傾向は顕著なように思える。
実際に、
「あぁ、今回は写真に助けられたな」
と、思わされることも多い。それだけ写真の持つ力は大きい。
カメラを携えて取材に行く機会も増えた。そして、
「カメラマンはその場で仕事が終わってしまう」
という認識が非常に甘いものであったことに気付かされる。
レンズ越しに観る風景は、常にピーンとした空気で張り詰められている。カメラマンは感性というアンテナを頼りに“その一瞬”を捕らえなくてはならない。“その一瞬”が勝負であり、時間を巻き戻す余地がないのだ。そのことを痛感せざるを得ない。
「いやいや、あくまでも写真はオカズ。文章がメインディッシュなんですよ」
と、謙遜して語ってくれたカメラマンがいた。“逆もまた真なり”ということであろうか? また、写真と文章の果たす役割が根本的に違うというのも関係しているのかも知れない。
“写真の力”だけで第三者にメッセージを伝える。“文章の力”のみで読み手の心に触れる。でも、“写真の力”と“文章の力”が衝突することなく、調和が保たれた時。相乗効果でとても面白い、極上のスポーツライティングが完成するのではないか?
「写真が上」
「文章の方が優れている」
そのような優劣は絶対にない。それぞれの良さがある。このことを意識して、今後も文筆を奮いたいものだ。
今年、新野球浪漫『プラスの力に変わるように 黒田博樹[カープ]』(週刊ベースボール2002年10月28日47号/ベースボールマガジン社)を寄稿した。その中で、雄叫びを発し、黒田が右拳を下から突き上げている写真がある。僕はこの写真がえらく気に入っている。
愚かにも、軽はずみな発言をしたことがある。
取材で、カメラマンの方と同行する機会も多い。確かに、重たい機材を持ち運ぶのは大変であるが、取材時に写真さえ撮ってしまえば、大方の仕事は終わり。かたや、僕のようなライターは取材も重要であるが、原稿を書き上げるという非常に困難な作業が待ち受けている。だから、冒頭のような願望を抱いていたのだ。
僕が寄稿した文章には、写真が添えられることが多い。それは取材に同行したカメラマンの撮った写真である時もあれば、出版社が新聞社などから買い取った写真、専属のカメラマンなりが撮り溜めた写真というケースもある。
写真が挿入されることによって、文章は活きる。そう思えるのは、僕自身が書き上げた活字だけの原稿を知っているからだ。ただ活字が羅列されているものよりも、視覚に飛び込んで来る写真がある方が読み易いのは勿論のこと、文章が味わい深いものになる。特にスポーツライティングという分野であると、その傾向は顕著なように思える。
実際に、
「あぁ、今回は写真に助けられたな」
と、思わされることも多い。それだけ写真の持つ力は大きい。
カメラを携えて取材に行く機会も増えた。そして、
「カメラマンはその場で仕事が終わってしまう」
という認識が非常に甘いものであったことに気付かされる。
レンズ越しに観る風景は、常にピーンとした空気で張り詰められている。カメラマンは感性というアンテナを頼りに“その一瞬”を捕らえなくてはならない。“その一瞬”が勝負であり、時間を巻き戻す余地がないのだ。そのことを痛感せざるを得ない。
「いやいや、あくまでも写真はオカズ。文章がメインディッシュなんですよ」
と、謙遜して語ってくれたカメラマンがいた。“逆もまた真なり”ということであろうか? また、写真と文章の果たす役割が根本的に違うというのも関係しているのかも知れない。
“写真の力”だけで第三者にメッセージを伝える。“文章の力”のみで読み手の心に触れる。でも、“写真の力”と“文章の力”が衝突することなく、調和が保たれた時。相乗効果でとても面白い、極上のスポーツライティングが完成するのではないか?
「写真が上」
「文章の方が優れている」
そのような優劣は絶対にない。それぞれの良さがある。このことを意識して、今後も文筆を奮いたいものだ。
今年、新野球浪漫『プラスの力に変わるように 黒田博樹[カープ]』(週刊ベースボール2002年10月28日47号/ベースボールマガジン社)を寄稿した。その中で、雄叫びを発し、黒田が右拳を下から突き上げている写真がある。僕はこの写真がえらく気に入っている。
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