新球場

2002年12月28日
 プロ野球球団カープを中心に構成された“チーム・エンティアム”と広島市が、07年度の開業を目処とした“屋根なし複合型オープン球場”を新設することで合意した。
 広島駅東側の貨物ヤード跡地に建設予定。新球場の構造などの細部に関しては、今後、煮詰めて行くようであるが、日本では珍しい外野の右翼が左翼よりも極端に広い左右非対称の天然芝球場が最有力だと言う。

 今年の8月、広島市民球場でナイトゲームを観戦した。久々となる仕事抜きのプライベートタイムで、一塁側の内野自由席から前田智徳(カープ)外野手や福留孝介(ドラゴンズ)外野手のプレーを目前で観ることが出来た。また、真夏の夜空の下、ウチワを片手に生ビール。という“古き良き正しいスタイル”での観戦にとても満足感に浸っていた次第である。
 ただ、スタンドの空席が目立っていたのは残念だった。右翼側の外野スタンドは“そこそこ”であったが、バックネット裏の内野指定席ですら歯が抜け落ちた櫛のようで、さらに三塁側内野自由席はほぼ無人状態。“野球王国”の一つとも呼ばれる広島のホームチーム・カープの主催試合であることを考えると、非常に寂しく感じた。


 広島市民球場の今季1試合平均入場者数は約14,000人。これはセ・リーグの観客動員数としては最低の数字である。広島市民球場の甚だしい老朽化が、観客動員数激減の最大要因と、言われているが、果たしてそれだけが理由なのか?
 カープは91年を最後に、リーグ優勝から遠ざかっている。加えて、98年からはBクラスが指定席。“マネーゲーム”の様相を呈して来た戦力整備から最も縁遠いチームであるのも大きな背景だが、この成績低迷が“オラが街のチーム”という意識が強い広島市民、及びファンの足を遠ざけているように思える。


 広島市民球場は広島市内の中心地、繁華街の好条件な一等地に立地。であるが、新球場が建設されることに伴い、役目を終える。恐らく、広島市民球場の跡地再開発は商業地区になるだろう。
 懐古主義者の嘆きのように聞こえるかも知れないが、また歴史と、様々な人のたくさんの思い出が刻み込まれた球場が消えてしまうことには正直、落胆してしまう。しかし、
「07年開業という具体的な数字が出て、球団としての目標が出来た。早速、左右非対称、天然芝の新球場に対応したチーム作りをして行きたい」
 松田元オーナーの言葉には希望を感じた。

 広島の新球場は、新たなる“プロ野球の在り方”を発信する可能性を秘めている。

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