契約金で
2003年1月5日 昨日の日記で、近畿大の田中雅彦捕手と糸井嘉男投手のことを書いたが、同志社大の渡辺亮投手も大阪日刊スポーツの“自由枠候補”にリストアップされていたので、ワンエピソード。
昨年の11月5日、京都アマチュア王座決定戦(三菱自動車京都−同志社大)を観に、西京極球場へ足を運んだ。この試合は休部を決めた社会人野球・三菱自動車京都のサヨナラゲーム。僕はそのリポート(『週刊ベースボール/ベースボールマガジン社』)をする為に、カバンの中には借り物の一眼レフカメラも入っていた。
試合前、一塁側ダグアウト裏で、関西学院大時代のチームメート・木原栄一郎(三菱自動車京)投手と談笑。電話で聞いてはいたのだが、木原は数日前の練習中に故障(球拾い時にボールを踏んでしまい、松葉杖姿…)。
「ホンマ、痛々しいなぁ」
「みんなより一足先にサヨナラや。今日はスコアブックでも付けておくわ」
「これからどないすんのや?」
「夏にも話したけど、もう野球は終わりや。仕事、頑張らなアカンわ」
などのやり取りをしながらも、木原の松葉杖姿をシッカリと撮影してやった(笑)。
さすがに写真を撮りながら、スコアブックを付けるのは至難の業。同志社大の新主務・中路將位に
「自宅にスコアブックのコピー、FAX送ってくれるかな。ゴメンね」
と、懇願して、無事に問題解決。プレイボールの声と同時に“カメラマン・島尻”として、スタンドやカメラマン席を行ったり来たり。西京極球場には、既に冷たい風が吹き始めていたのだが、忙しく(無意味に???)走り回っていたおかげで僕は大汗をかきまくる…(苦笑)。
試合も終盤。僕は三塁側ダグアウト横のカメラマン席でシャッターチャンスを狙っていたのだが、5回までマウンドに立っていた同志社大のエース・渡辺がグラウンドコートを羽織り、僕に話し掛けて来た。
「島尻さんはカメラもやらなアカンのですか?」
「そうや、大変やろう。書くだけでは使って貰われへんのや」
「それにしても、寒いでしょ。そのジーンズやったら」
僕のこの日のいでたちは革のコートに、年季の入ったジーンズ。両膝部分はザックリと、大きく破れていた。
「寒くはないけど、確かにこのジーンズはボロボロやな」
そう応えると、
「来年、自分が島尻さんに新しいジーンズを買うてあげますわ。でも、ドラフトの後ですよ。契約金を貰ってからです」
と、渡辺はニンマリ笑った。
その話しを彼女にすると
「年下にたかるなんて最低最悪やなぁ」
そのように言われてしまったが、僕は約束通り、渡辺にジーンズを買って貰うつもりだ。プロ入りする選手にジーンズをプレゼントして貰うスポーツライターもそういないだろう。ジーンズはサイン入りでもOK。いや、むしろサインを書いて欲しい。
力のあるストレートを投げ込み、効果的なチェンジアップを操る渡辺。小柄ながらも全身バネ。馬力のある投球スタイルは魅力的だ。プロ入り前の渡辺を1度は観ておくべし。
昨年の11月5日、京都アマチュア王座決定戦(三菱自動車京都−同志社大)を観に、西京極球場へ足を運んだ。この試合は休部を決めた社会人野球・三菱自動車京都のサヨナラゲーム。僕はそのリポート(『週刊ベースボール/ベースボールマガジン社』)をする為に、カバンの中には借り物の一眼レフカメラも入っていた。
試合前、一塁側ダグアウト裏で、関西学院大時代のチームメート・木原栄一郎(三菱自動車京)投手と談笑。電話で聞いてはいたのだが、木原は数日前の練習中に故障(球拾い時にボールを踏んでしまい、松葉杖姿…)。
「ホンマ、痛々しいなぁ」
「みんなより一足先にサヨナラや。今日はスコアブックでも付けておくわ」
「これからどないすんのや?」
「夏にも話したけど、もう野球は終わりや。仕事、頑張らなアカンわ」
などのやり取りをしながらも、木原の松葉杖姿をシッカリと撮影してやった(笑)。
さすがに写真を撮りながら、スコアブックを付けるのは至難の業。同志社大の新主務・中路將位に
「自宅にスコアブックのコピー、FAX送ってくれるかな。ゴメンね」
と、懇願して、無事に問題解決。プレイボールの声と同時に“カメラマン・島尻”として、スタンドやカメラマン席を行ったり来たり。西京極球場には、既に冷たい風が吹き始めていたのだが、忙しく(無意味に???)走り回っていたおかげで僕は大汗をかきまくる…(苦笑)。
試合も終盤。僕は三塁側ダグアウト横のカメラマン席でシャッターチャンスを狙っていたのだが、5回までマウンドに立っていた同志社大のエース・渡辺がグラウンドコートを羽織り、僕に話し掛けて来た。
「島尻さんはカメラもやらなアカンのですか?」
「そうや、大変やろう。書くだけでは使って貰われへんのや」
「それにしても、寒いでしょ。そのジーンズやったら」
僕のこの日のいでたちは革のコートに、年季の入ったジーンズ。両膝部分はザックリと、大きく破れていた。
「寒くはないけど、確かにこのジーンズはボロボロやな」
そう応えると、
「来年、自分が島尻さんに新しいジーンズを買うてあげますわ。でも、ドラフトの後ですよ。契約金を貰ってからです」
と、渡辺はニンマリ笑った。
その話しを彼女にすると
「年下にたかるなんて最低最悪やなぁ」
そのように言われてしまったが、僕は約束通り、渡辺にジーンズを買って貰うつもりだ。プロ入りする選手にジーンズをプレゼントして貰うスポーツライターもそういないだろう。ジーンズはサイン入りでもOK。いや、むしろサインを書いて欲しい。
力のあるストレートを投げ込み、効果的なチェンジアップを操る渡辺。小柄ながらも全身バネ。馬力のある投球スタイルは魅力的だ。プロ入り前の渡辺を1度は観ておくべし。
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