自分の為

2003年2月20日
 昨日の日記でタイガースの新投手コーチ・西本聖のインタビューが熱かった。そのように書いたが、あまりにも不親切すぎたかな???と、反省。少々ではあるが、西本の話しを。

 西本は94年に現役を退いて、8年間、評論家としてネット裏から野球を観て来た。タイガースに限った話しではないと、前置きしながらではあったが
「詰めが甘いんだよね、結局は。ウチの藪(恵壹、投手)なんかが典型的でしょう。良い投球をしているんだけれども、詰めが甘い。それで勝てない。無意識なんだけれども、最後まで全力で走り切ることを知らない。もしくは忘れてしまっているんだよ」
 と、西本は語った。また、
「打者をツーストライクまで追い込んでもアウトは取れない。スリーストライク目が甘かったら、どんなに良い球を放っていてもダメ。1つずつアウトを取って、それを3つ積み重ねてスリーアウト、1イニングが終わる。完投しようと思ったら、27もアウトを積み重ねなければならない。正直、シンドイよ。でも、これは練習で克服出来るんだ」
 西本はさらに続ける。
「50?走で6.5秒の選手に6.0秒で走れっ!とは言わない。ただ、10本走るならば、10本は6.5秒で走って欲しいんだ。これは難しいことじゃないんだから」
 確かに、正論だ。
「具体的には、3−1の投内連携(二塁手寄りのゴロを一塁手が捕球して、ベースカバーに入る投手にトス)のノック。投手はマウンドで投げる。でも、投げ終わらないうちに一塁ベースに走り始めているんだよね。まぁ、ノッカーが一塁ゴロを打つのは分かっているんだから。これは僕が現役の時から変わっていない。どこのチームでも、どんな投手でもそうだった。だから、もしもコーチになったら変えるんだと、評論家時代から思っていたよ」
 西本の提案とは“練習の為の練習はしない”ということである。むしろ、このような場合では、投手はわざと一塁へのスタート(ワンテンポ、ツーテンポ)を遅らせることだ。
「だって試合の時は投げ終わってから、『あっ、一塁ゴロだ。ベースカバーに入らなきゃ』なんだよ。いつもギリギリのところでの勝負。だから、練習で余裕がなくても良い。実際に、練習で楽をするくらいならバック(やり直し)させているからね」
 この西本の方針は、若手、ベテランの垣根はない。新加入でベテランの伊良部秀輝投手、下柳剛投手にも徹底させる。
「こんなの初めてですよ。でも、その通りですよね」
 伊良部、下柳も納得して、ノックを受けるようになったらしい。そして、若手もそれを見習うようになる。
「これが自然なことになったら強いんだよね」
 西本は笑みを浮かべた。

 よくよく考えてみれば、西本の現役通算165勝という立派な数字は、ゴールデングラブ賞を8度受賞(79〜85、89年)したフィールディングの良さに支えられた裏打ちがある。
 巷では、(現時点)
「今年は戦力補強もバッチリ。タイガースが優勝や!」
 と、盛り上がっている節もあるが、新投手コーチのこのような意識付けがどれだけ浸透して行くのか?という視点の方が興味深いように思える。勝ち負けにこだわるのも大事だけれども、西本は中長期的スパンでチーム(投手陣)の“体質改善”を試みようとしているのだから。

「でもね、これは“チームの為”じゃない。“自分の為”なんだよね。手を抜かない練習は必ず自分の成績に跳ね返って来るんだから。建前は“チームの為”でも良いよ。ただ、最終的には“自分の為”(もしくは家族、女房、子供の為)にやるしかないんだよ。プロなんだから」
 西本の言葉が、僕の心に染み込んで来る。


 この日記は現時点で、一銭にもなっていない。しかし、僕は
「毎日、モノを書く習慣を」
 と、始めたのだ。駄文も多いが、日々、積み重ねて行きたい。誰の為でもない。“自分の為”に。

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