穴は大きい

2003年3月9日
 3月6日、ホークス−ライオンズのOP戦。
 4回裏、スコット・マクレーン内野手(ライオンズ)の失策で出塁した小久保裕紀内野手(ホークス)は、次打者・松中信彦内野手(ホークス)の左中間フェンス直撃の打球で、一塁から一気に本塁へ突入。その際、本塁上で椎木匠捕手(ライオンズ)とクロスプレーとなった。椎木の体重が本塁に生還しようとスライディングで伸ばした右足に乗っかる。その結果、右膝の前十字靭帯、内側靭帯、けい骨、大腿骨挫傷、外側半月板損傷で全治3ヶ月という大負傷を負ってしまったのだ。手術をすれば復帰には半年近く要すると言う。今シーズンの完全復帰はほぼ絶望的である。

 小久保はホークスの四番打者。戦力としても痛手であるのは言うに及ばないが、その存在感も忘れてはならない。

 僕は先月末、高知に行った際、ホークスが非常に良い練習をしているように感じた。そのような旨を日記にも書いたが、それは小久保の影響も大きい。
 今シーズンから、ホークスの選手会長は松中である。確かに、松中も素晴らしいキャプテンシーを発揮。練習を多いに盛り上げていた。しかし、それ以上に松中より2歳年長の小久保がチームをまとめていた印象が強い。
「年上の小久保さんがあれだけ練習(居残り)するから、僕らは帰れんのですよ。でも、おかげでこっちの力も付きますしね」
 と、松中。
 黙々と、練習に打ち込む姿でチームを束ねられる力を小久保は持っている。

 2年前、金村義明(評論家)のマネージャー時代、小久保との対談に立ち会う機会に恵まれた。
「年齢は関係ない。負けたくないんですよ。それには練習するしかない。あと、ウチには秋山(幸二外野手、02年のシーズンで引退)さんがいますからね。秋山さんと比べたら、まだまだですよ」
 そのように小久保が語っていたことも思い出した。

 ホークスというチーム。特に、野手陣の構成はバランスが良い。
 僕はいつも思うのだが、城島健司捕手あたりは、小久保、松中のような実力を持ち、練習に没頭する年長者がいなかったら…もっと“天狗”になっており、チーム内で浮いた存在になっていたはずだ。また、井口資仁内野手がマイペースで、鳥越裕介内野手が明るくプレー出来るのも同様。大人しい印象の柴原洋外野手、村松有人外野手も勝負所では気持ちが出せる。

 20勝出来る投手はいないが、10勝出来る投手は何枚も揃ったホークス投手陣。しかし、99、00年にリーグ連覇を果たした時のように野手陣が引っ張って行くチーム。それだけに、小久保不在の穴は大きい。この苦境をホークスはどうのように乗り越えて行くのか?下世話な言い方になってしまうが、非常に興味がある。

 節目のプロ入り10年目。95年の本塁打王、97年の打点王以来のタイトル獲得。そして、3年振りのV奪還に向けて、順調な仕上がりを見せていた小久保のリタイア。個人的には、とても残念。早期復帰と復帰後の活躍を祈りたい。


 高校卒業後、僕は青山学院大へ進むことも考えていた。もしかしたら、小久保の猛練習に励む後ろ姿に引っ張られ、僕も名プレーヤーになっていたかも???それはないか…(苦笑)。

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