立場上、公正な目線で野球を観なければならない。だけど、僕も血の通った人間だ。取材をさせて貰ったり、親交のある選手や監督、コーチには“勝って欲しい”と、ついつい思ってしまうものである。

 今シーズン、カープの開幕投手を務めた“ミスター完投”こと黒田博輝投手が苦しんでいる。
 昨夜のジャイアンツ戦も6回裏に突如、乱れて5失点で逆転を許す。その後、カープは3点をもぎ取り、再逆転に成功したので黒田に黒星こそ付かなかったが…。結局はジャイアンツのサヨナラ勝ち。敗戦チームの先発投手。ましてや、エース格としては何ともやり切れない気持ちであろう。

 1ヶ月前の4月5日(ジャイアンツ戦、広島市民球場)。
 前日の試合を雨で流し、スライド登板ながらも黒田は目を見張る好投を見せた。ストレートは力強く、自慢の高速フォークは冴え渡る。しかし、投げ合った39歳・工藤公康投手(ジャイアンツ)はそれを上回る投球内容であった。特に、カーブのキレは圧巻で、13奪三振(毎回)の完封勝利。
 ちなみに敗戦投手となった黒田が1点を失ったのは捕逸によるもの。自責点ではなかった。
 それ以来、黒田は勝利の女神から見離されているうえに、投球内容も芳しくないように思える。依然、開幕戦(3月28日、スワローズ戦、神宮球場)で挙げた1勝止まりという現況。もしかしたら、昨シーズンも苦しんだ腰痛でも患っているのかな?と、心配になってしまう。

 僕の知っている黒田は実直な男だ。ありきたりな言い方だけれども、非常に律儀なナイスガイ。1杯600円程度のアイスオーレをごちそうしただけでも
「ホンマ、スミマセン。ごちそうさまでした。ありがとうございます」
 深々と、何度も頭を下げて、礼を言う。
 尚、キャンプ中にも関わらず、こちらの一方的なお願いにも快く応じてくれたりもしている。(2月8日の日記参照)

 また、残念なことに黒田の母親(靖子、02年6月2日逝去)に会う機会には恵まれなかったのだが、元プロ野球選手(51〜53年、南海ホークス3連覇時の主力外野手)である父・一博さんにはインタビューが出来た。
 こちらも細心の注意を払っていたつもりであったけれども、亡くなったばかりの奥さんに関する質問が集中してしまった。(要反省)それでも、涙を堪えながら、一つずつ丁寧に応えてくれた父・一博。その姿と黒田が重なって映る。どこまでも“真っ直ぐ”なのだ。

 現在、“勝てないエース”はあまりにも“真っ直ぐ”に悩んでいるに違いない。僕も励ましの電話やメールをしたいのだが、きっと“真っ直ぐ”な男には重荷になってしまうだろう。よって自重している次第。

《苦しまずして栄光なし》
 黒田が書くサインの横に添えられる文句。今、苦しんだ分だけ大きくなれる。そう信じて、マウンドに登って欲しい。

 頑張れっ!ミスター完投


 ※工藤公康投手(ジャイアンツ)は、明日の5月5日が40歳の誕生日です

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