ナックル・ボーラー
2003年10月16日 中学生の時、野球部の1学年上にTさんという先輩がいた。
打って良し、守って良し、走って良しという典型的な野球小僧で、時折、マウンドへ上がっては打者を手玉に取った。
僕は捕手もやっていたので、何度か練習試合でTさんとバッテリーを組んだことがある。サインはストレート、カーブ、シュート。そして、ナックルであった。
Tさんは肘が先に出て来る投げ方でストレートも中学生離れしたスピードであったが、ナックルに相当の自信を持っていたようである。しかし、そのナックルは捕手にしてみれば厄介な代物。ユラユラと揺れたり、揺れなかったり。右に流れたり、左に流れたり。大きくユッタリと落ちたり、鋭くキュンと落ちたり。予測不可能な不規則な変化(軟球ということもあったのだろうが)が尋常でない。捕球するのに精一杯で、僕はナックルのサインを出すのを嫌がっていたものであった。それでも、Tさんはナックルのサインを出すまでは首を縦に振ってくれなかったけれども(苦笑)。
一概に言えないが…一般的にナックルは人差し指と中指の爪を立てて(薬指を立てる人もいる)、弾くようにして投げる。指先での弾き加減、風向き、縫い目の空気抵抗などなど。様々な要素が絡んで、ナックルは前述したような不規則な変化が生じる。抜いたり、切ったりすることがないので肩や肘への負担が少ない球種で習得し易い。また、ナックルの使い手として名を馳せたフィル・ニークロ投手(ブレーブス→ヤンキース→インディアンス→ブルージェイズ→ブレーブス、実働24年)は48歳まで現役生活を送り、通算318勝を挙げた。現在、ポストシーズンでナックル・ボーラーとして注目されているティム・ウェークフィールド投手(レッドソックス)も37歳のベテランということからも投手寿命が伸びるとも言われている。だが、日本では実際にこのナックルを投じる投手は非常に少ない。ブルーウェーブのルーキー・加藤大輔投手くらいである。
なぜ、日本の投手はナックルを投げたがらないのだろう?
まずは繊細な指先や爪を傷めることを好まないという理由が思い当たる。でも、それ以上に制球が定まらない。手元を離れたら“あとは球に聞いてくれ”的な球種であることが一番の要因であるように思える。
投げたいコースに、思い描いた軌道の球を投げたいという理想が投手の深層心理にある。その意に添わないのがナックルたる気まぐれな球種。それだけに痛打を食らった時の後悔も大きいのかも知れない。
だけど、端目から傍観している立場で言わせて貰うと、ド真ん中に行こうが、際どいコースに決まろうが。打たれる時は打たれるし、打たれない時は打たれない。(当たり前や)タイミングを外す、遊び球としてナックルを持っているというのは武器になるような気がするんやけれども。投手自身がどこに行くか分からん球を打者が簡単に打てるとは思えんし。あと、回転数が少ない球種やから、長打の危険性もそんなに高くないはずだ。無責任ではあるが、ナックルで一皮剥ける投手が出て来ることを待ち望みたい。
今秋のドラフトでバファローズ(自由獲得枠)への入団が確定的な香月良太投手(東芝)は高校時代(柳川高)、甲子園球場のマウンドでナックルを多投していたが…現在は封印しているんやろうか!???
観たいな、ナックル・ボーラー。でも、ホンマに捕手は大変なんだよなぁ。
あと、手の平で包むようにして投げるパームを放る投手も少ないような気がするけれども…やや形態を変えて、チェンジアップ気味になっているんかな???
まぁ、ナックルよりは制球に苦しまないような気がする。
あっ、Tさんは今でも(草野球とかで)ナックルを放っているんかな???
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今日の日記は放送作家・桝野幸宏の
「ナックル・ボーラーに関することを書いて下さい」
というリクエストによるもの。
こんな内容ですが、よろしいでしょうか?
打って良し、守って良し、走って良しという典型的な野球小僧で、時折、マウンドへ上がっては打者を手玉に取った。
僕は捕手もやっていたので、何度か練習試合でTさんとバッテリーを組んだことがある。サインはストレート、カーブ、シュート。そして、ナックルであった。
Tさんは肘が先に出て来る投げ方でストレートも中学生離れしたスピードであったが、ナックルに相当の自信を持っていたようである。しかし、そのナックルは捕手にしてみれば厄介な代物。ユラユラと揺れたり、揺れなかったり。右に流れたり、左に流れたり。大きくユッタリと落ちたり、鋭くキュンと落ちたり。予測不可能な不規則な変化(軟球ということもあったのだろうが)が尋常でない。捕球するのに精一杯で、僕はナックルのサインを出すのを嫌がっていたものであった。それでも、Tさんはナックルのサインを出すまでは首を縦に振ってくれなかったけれども(苦笑)。
一概に言えないが…一般的にナックルは人差し指と中指の爪を立てて(薬指を立てる人もいる)、弾くようにして投げる。指先での弾き加減、風向き、縫い目の空気抵抗などなど。様々な要素が絡んで、ナックルは前述したような不規則な変化が生じる。抜いたり、切ったりすることがないので肩や肘への負担が少ない球種で習得し易い。また、ナックルの使い手として名を馳せたフィル・ニークロ投手(ブレーブス→ヤンキース→インディアンス→ブルージェイズ→ブレーブス、実働24年)は48歳まで現役生活を送り、通算318勝を挙げた。現在、ポストシーズンでナックル・ボーラーとして注目されているティム・ウェークフィールド投手(レッドソックス)も37歳のベテランということからも投手寿命が伸びるとも言われている。だが、日本では実際にこのナックルを投じる投手は非常に少ない。ブルーウェーブのルーキー・加藤大輔投手くらいである。
なぜ、日本の投手はナックルを投げたがらないのだろう?
まずは繊細な指先や爪を傷めることを好まないという理由が思い当たる。でも、それ以上に制球が定まらない。手元を離れたら“あとは球に聞いてくれ”的な球種であることが一番の要因であるように思える。
投げたいコースに、思い描いた軌道の球を投げたいという理想が投手の深層心理にある。その意に添わないのがナックルたる気まぐれな球種。それだけに痛打を食らった時の後悔も大きいのかも知れない。
だけど、端目から傍観している立場で言わせて貰うと、ド真ん中に行こうが、際どいコースに決まろうが。打たれる時は打たれるし、打たれない時は打たれない。(当たり前や)タイミングを外す、遊び球としてナックルを持っているというのは武器になるような気がするんやけれども。投手自身がどこに行くか分からん球を打者が簡単に打てるとは思えんし。あと、回転数が少ない球種やから、長打の危険性もそんなに高くないはずだ。無責任ではあるが、ナックルで一皮剥ける投手が出て来ることを待ち望みたい。
今秋のドラフトでバファローズ(自由獲得枠)への入団が確定的な香月良太投手(東芝)は高校時代(柳川高)、甲子園球場のマウンドでナックルを多投していたが…現在は封印しているんやろうか!???
観たいな、ナックル・ボーラー。でも、ホンマに捕手は大変なんだよなぁ。
あと、手の平で包むようにして投げるパームを放る投手も少ないような気がするけれども…やや形態を変えて、チェンジアップ気味になっているんかな???
まぁ、ナックルよりは制球に苦しまないような気がする。
あっ、Tさんは今でも(草野球とかで)ナックルを放っているんかな???
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今日の日記は放送作家・桝野幸宏の
「ナックル・ボーラーに関することを書いて下さい」
というリクエストによるもの。
こんな内容ですが、よろしいでしょうか?
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