悔し涙を忘れずに

2003年10月20日
 連日の皇子山球場。遠い…。
 関西学生リーグ(関西大×近畿大、関西学院大×京都大)観戦の為である。

 関西大は今節、近畿大から勝点(2勝1敗でも可)を取れば、95年春以来のリーグ優勝が決まる。
 試合は白熱の攻防戦。関西大が先制すれば、近畿大が追い付く。また関西大が突き放せば、近畿大が土壇場で追い付く。スコア3×3のまま、延長戦に突入した。

 同点に追い付かれた直後の9回裏。関西大は代打を出した関係で、エース・増田陽紀投手が降板。マウンドには昨夏の甲子園優勝投手・田辺佑介投手が上がった。
 田辺はリーグ優勝を引き寄せるべく9回、10回を無難に抑える。と言うか、球に力、ノビがあった。大学入学以来、一番の出来であったように僕は感じていた。が、11回裏に落とし穴が待ち受けていた。
 この回の近畿大の先頭打者は4番・中村真人外野手。力のあるストレートに押されて、飛球を打ち上げた。しかし、これを関西大の遊撃手・石井浩司内野手と中堅手・坂口直樹外野手が譲り合い(最後は石井がグラブには当てるが、落球で記録はエラー)、無死走者二塁。続く途中出場の森川欽太外野手が三塁線に絶妙の送りバントを決めて、一死走者三塁になる。
 ここで関西大はセオリー通り、満塁策を選択。寺坂知哉外野手、中東信二内野手に対しては敬遠の四球を与えて、一死走者満塁に。
「セオリーやし、ベンチの指示やけれども。投手の本音では嫌やねんな。勝負したいもんやで」
 記者席の僕の隣で、これを観ていた本荘雅章監督(関西学院大)はそう呟いた。

 僕には、マウンド上の田辺は落ち着いているように映った。代打・中尾恭明を打席に迎えた時に大きく肩で深呼吸をしたのもきっと動揺ではない。

 空振りストライク
 ボール
 ボール
 空振りストライク
 ボール
 ボールカウントは2−3になった。少しの間を置いて、田辺が投じたのは渾身のストレート。しかし、コースが僅かに外れた。左打者・中尾のアウトコースに流れた…痛恨の“サヨナラ押し出し四球”である。勝利に沸く近畿大ナインの横、マウンドを少し降りた場所で土下座をするかのように田辺はうずくまっていた。

「満塁策はベンチの指示。最後の押し出しはやむを得ない。田辺の責任ではないですよ」
 関西大・高岡淳監督は田辺をかばったが、更衣室で当の田辺は泣きじゃくっていた。大学生の選手がこれほどまでに号泣している姿は非常に珍しい。まぁ、1回生という立場で、先輩に申し訳ないという気持ちも強かったに違いない。

「調子自体は悪くなかったです。とにかく負けたのが悔しい」
 落ち着きを取り戻し、少し腫れた目で田辺はポツリポツリと、語り始める。
「でも、もう気持ちの切り替えは出来ています。先輩にも『お前のせいで負けたんやぞ』って、励まされましたから」
 と、少しばかり無理をしながら笑顔を見せてくれた。

 ホロ苦い経験であろうが、この“サヨナラ押し出し四球”が今後の田辺を支える、成長させる大きな背景になるような気がした。根拠を説明するのは難しいけれども…。
 流した悔し涙をいつまでも忘れずにいて欲しい。


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 関西学院大1×0京都大

 京都大のエース・河村浩輔投手は球に力があったが、笹嶋外野手に投じた1球が唯一の失投(2回表に右翼越えのソロ本塁打を食らう、笹嶋は今季第2号)となった。

「多分、今日が学生時代最後の登板!?素直に良かったです」
 関西学院大のエース・新谷泰隆投手は持ち味である粘り強い投球で完封勝利。

 社会人野球の王子製紙に進む、関西学院大の田辺誠吾内野手は
「.400超えましたね。ここまで来たら狙いたい(首位打者を)っすね」
 と、3打数2安打。


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 どうでも良いことだが、学生時代から気になっていることがある。
 皇子山球場の選手、報道関係者入口の横の池に鯉がいるのだが、そこの看板が解せないのだ。

《コイがびょうきですのでエサをあたえないでください》

 う〜ん…。鯉が病気やったら治したれよ。放っとくなよ。
《コイがびょうきになりますのでエサをあたえないでください》
 にするべきやと思うんやけど。


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 日本シリーズ。伊良部秀輝投手(タイガース)もイマイチであったが、金澤健人投手(タイガース)の火ダルマは凄かったなぁ(苦笑)。点差も点差やったので“放置プレー”になっていたのも仕方ないけれども。
 甲子園球場でのタイガースの巻き返しはあるのか!?

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