近畿大でのドラフト・リポート
2003年11月20日 11月19日の日記に書いたように昨日はドラフトであった。
取材させて貰った選手も多数、指名を受けたことは嬉しいものだ。
近畿大に到着したのが13:00前。これまでに近畿大の生駒グラウンドには何度も足を運んだことはあるが、東大阪のキャンパスには行ったことはなかった。でも、近鉄・長瀬駅から学生達の流れに身を任せていたら、いつの間にか辿り着いていた。
校門を入って、正面の大きな建物に。《プロ野球ドラフト会議合同会見会場4階》という貼紙の指示に従う。そして、受付で名刺を提示。ドラフトが始まる1時間前ということもあって、会場はガラ〜ンとしていた。テレビ局がカメラをセットしているくらいで、報道陣はほとんどいない。
しばらくすると、前主務・島和也を先頭にドラフト候補生である糸井嘉男投手、野村宏之投手、田中雅彦捕手が現れた。
糸井は自由獲得枠でファイターズ入団が決まっているので、リラックスした面持ち。
「今日は1人じゃないですしね」
本当に糸井は余裕シャクシャクであった。
それと対照的であったのが田中だ。冗談交じりに指摘すると
「そんなに堅いっすかね?」
笑顔を見せたが、緊張感を全身から発している。
野村はマウンド上と変わらず、ポーカーフェースであった。
《会場配置》
(近畿大小旗)(田中)(野村)(糸井)(榎本監督)(近畿大小旗)
(報道陣)
糸井、野村、田中と榎本保監督が会見席に着いた頃には、続々と報道陣で会場も埋まって来る。会場の全員が設置されたテレビ中継を見ながら、直に始まるドラフトを待ち構えていた。
13:55過ぎ
自由獲得枠で入団が決まっている契約締結選手の確認が始まった。糸井は自身の名前が読み上げられると、席を立って、深々と一礼。会場は無数のフラッシュと大きな拍手(学校関係者など)に包まれる。
14:01
榎本の携帯電話にファイターズより指名挨拶の連絡が入る。糸井も
「宜しくお願い致します。はい、分かりました」
と、神妙な顔付きで応対していた。
それから、しばしの間は沈黙の時間。自由獲得枠を行使しなかったカープ、マリーンズ、ドラゴンズの1巡目指名に始まり、各球団の3巡目指名を見守る。そして、ドラフトが20分間の休憩に入った。
その間、野村は冷静にテレビ画面を凝視。田中は目の前に置かれたドリンクを何度も口にして、右腕にはめた腕時計に視線を落とす。隣の野村に
「長いよなぁ…」
そう話し掛けていたのは田中の偽らざる本音に違いない。指名の約束を受けていても、実際に名前が読み上げられるまでは一息付けないといったところだろう。
トイレで榎本と一緒になり、お互いに一服しながら話しをする。
「いやぁ、私までもが緊張しますわ。必ず指名してくれるとは言うて貰ってはいるんですけれどもねぇ。立命館大時代の古田君(敦也捕手、スワローズ)のことが頭をよぎってしまいますよ」
そう言って、深呼吸でもするかのようにタバコの煙を大きく吐き出した。
14:40
ドラフト再開。
14:46
緊張がピークに達している田中がマリーンズの4巡目指名を受ける。安堵の表情を浮かべながら、起立して一礼。
ドラフトの解説をしていたライター・小関順二の寸評に苦笑いする余裕も見せた。
14:50
榎本の携帯電話にマリーンズから指名挨拶。
14:55
野村がブルーウェーブの5巡目指名を受ける。クールな表情が一瞬だけ崩れて、無邪気な少年のようなものになった。憧れのプロ野球選手になれる喜びがこみ上げて来たに違いない。
合同会見の概要は下記の通り。
(糸井)
「非常に嬉しい。厳しい世界ですが、1日も早くチームに貢献したい。強気な投球、黒田さん(博樹投手、カープ)のような投手になりたいです。トレイ・ヒルマン監督のメジャー流の下で、大きく育ちたい」
(野村)
「僕も非常に嬉しくて、頑張ろうという気持ちが湧いて来ました。僕がプロ野球選手に憧れたように、憧れられる選手になりたいです。どんな場面でも信頼される選手を目指します。ブルーウェーブは若い選手が多く、明るい印象。早く溶け込みたい。糸井、田中も同じパ・リーグなので、いつか対戦する日が来る。それを楽しみに頑張りたいです」
(田中)
「僕は体が小さい。それでも、野球で通用するところを見せたい。打って、走って、守れる捕手を目指します。マリーンズは応援がスゴイと聞いています。早くファンに親しまれる選手にもなりたいです。あと、糸井と野村と対戦する時は絶対に打ちます」
(榎本)
→糸井
「潜在能力が高い。まだ70%くらいしか出せていない。シッカリ鍛えて貰って、日本一の投手になって欲しい」
→野村
「元々、打者としての能力を買われて入学して来た。それが投手としてホンマに成長した。高校時代から指導している身としても嬉しい限り。変化球、スタミナはあるから、ストレートを強化して欲しい」
→田中
「小柄ながらも元気と努力でカバーして来た選手。この1年も主将として頑張ってくれた。肩と足をアピールして一軍定着して欲しい。投手の球を数多く受け、投手を把握、信頼される捕手に」
合同会見が終わり、写真撮影に。で、外で待ち受ける野球部員のところへ移動する糸井、野村、田中。ちょうど降っていた雨も止んでいた。
花束を受け取った後、藤田一也内野手の
「そ〜れ、それっ、それっ!イ〜トイ、イ〜トイ、イ〜トイ」
という音頭で胴上げが始まった。田中、野村もそれに続いた。
その光景を見ながら、僕は立命館大の主務・瀬川雄介に電話。松村豊司投手もブルーウェーブから6巡目指名を受けたからである。
「今、バタバタしているんちゃう?“おめでとう”とだけ伝えておいて」
僕がそう言うと
「ちゃんと松村にも伝えておきますので」
と、瀬川。
いつもテレビで観ていたドラフトであったが、今回は臨場感に溢れたものになった。
活躍を目の当たりにして来た彼等の奮闘を祈る。プロに入って終わりではない。勝負はこれからなのだから。
====================
ドラフト全体の雑感も書きたかったのだが…長くなってしまったので、また明日にでも。
取材させて貰った選手も多数、指名を受けたことは嬉しいものだ。
近畿大に到着したのが13:00前。これまでに近畿大の生駒グラウンドには何度も足を運んだことはあるが、東大阪のキャンパスには行ったことはなかった。でも、近鉄・長瀬駅から学生達の流れに身を任せていたら、いつの間にか辿り着いていた。
校門を入って、正面の大きな建物に。《プロ野球ドラフト会議合同会見会場4階》という貼紙の指示に従う。そして、受付で名刺を提示。ドラフトが始まる1時間前ということもあって、会場はガラ〜ンとしていた。テレビ局がカメラをセットしているくらいで、報道陣はほとんどいない。
しばらくすると、前主務・島和也を先頭にドラフト候補生である糸井嘉男投手、野村宏之投手、田中雅彦捕手が現れた。
糸井は自由獲得枠でファイターズ入団が決まっているので、リラックスした面持ち。
「今日は1人じゃないですしね」
本当に糸井は余裕シャクシャクであった。
それと対照的であったのが田中だ。冗談交じりに指摘すると
「そんなに堅いっすかね?」
笑顔を見せたが、緊張感を全身から発している。
野村はマウンド上と変わらず、ポーカーフェースであった。
《会場配置》
(近畿大小旗)(田中)(野村)(糸井)(榎本監督)(近畿大小旗)
(報道陣)
糸井、野村、田中と榎本保監督が会見席に着いた頃には、続々と報道陣で会場も埋まって来る。会場の全員が設置されたテレビ中継を見ながら、直に始まるドラフトを待ち構えていた。
13:55過ぎ
自由獲得枠で入団が決まっている契約締結選手の確認が始まった。糸井は自身の名前が読み上げられると、席を立って、深々と一礼。会場は無数のフラッシュと大きな拍手(学校関係者など)に包まれる。
14:01
榎本の携帯電話にファイターズより指名挨拶の連絡が入る。糸井も
「宜しくお願い致します。はい、分かりました」
と、神妙な顔付きで応対していた。
それから、しばしの間は沈黙の時間。自由獲得枠を行使しなかったカープ、マリーンズ、ドラゴンズの1巡目指名に始まり、各球団の3巡目指名を見守る。そして、ドラフトが20分間の休憩に入った。
その間、野村は冷静にテレビ画面を凝視。田中は目の前に置かれたドリンクを何度も口にして、右腕にはめた腕時計に視線を落とす。隣の野村に
「長いよなぁ…」
そう話し掛けていたのは田中の偽らざる本音に違いない。指名の約束を受けていても、実際に名前が読み上げられるまでは一息付けないといったところだろう。
トイレで榎本と一緒になり、お互いに一服しながら話しをする。
「いやぁ、私までもが緊張しますわ。必ず指名してくれるとは言うて貰ってはいるんですけれどもねぇ。立命館大時代の古田君(敦也捕手、スワローズ)のことが頭をよぎってしまいますよ」
そう言って、深呼吸でもするかのようにタバコの煙を大きく吐き出した。
14:40
ドラフト再開。
14:46
緊張がピークに達している田中がマリーンズの4巡目指名を受ける。安堵の表情を浮かべながら、起立して一礼。
ドラフトの解説をしていたライター・小関順二の寸評に苦笑いする余裕も見せた。
14:50
榎本の携帯電話にマリーンズから指名挨拶。
14:55
野村がブルーウェーブの5巡目指名を受ける。クールな表情が一瞬だけ崩れて、無邪気な少年のようなものになった。憧れのプロ野球選手になれる喜びがこみ上げて来たに違いない。
合同会見の概要は下記の通り。
(糸井)
「非常に嬉しい。厳しい世界ですが、1日も早くチームに貢献したい。強気な投球、黒田さん(博樹投手、カープ)のような投手になりたいです。トレイ・ヒルマン監督のメジャー流の下で、大きく育ちたい」
(野村)
「僕も非常に嬉しくて、頑張ろうという気持ちが湧いて来ました。僕がプロ野球選手に憧れたように、憧れられる選手になりたいです。どんな場面でも信頼される選手を目指します。ブルーウェーブは若い選手が多く、明るい印象。早く溶け込みたい。糸井、田中も同じパ・リーグなので、いつか対戦する日が来る。それを楽しみに頑張りたいです」
(田中)
「僕は体が小さい。それでも、野球で通用するところを見せたい。打って、走って、守れる捕手を目指します。マリーンズは応援がスゴイと聞いています。早くファンに親しまれる選手にもなりたいです。あと、糸井と野村と対戦する時は絶対に打ちます」
(榎本)
→糸井
「潜在能力が高い。まだ70%くらいしか出せていない。シッカリ鍛えて貰って、日本一の投手になって欲しい」
→野村
「元々、打者としての能力を買われて入学して来た。それが投手としてホンマに成長した。高校時代から指導している身としても嬉しい限り。変化球、スタミナはあるから、ストレートを強化して欲しい」
→田中
「小柄ながらも元気と努力でカバーして来た選手。この1年も主将として頑張ってくれた。肩と足をアピールして一軍定着して欲しい。投手の球を数多く受け、投手を把握、信頼される捕手に」
合同会見が終わり、写真撮影に。で、外で待ち受ける野球部員のところへ移動する糸井、野村、田中。ちょうど降っていた雨も止んでいた。
花束を受け取った後、藤田一也内野手の
「そ〜れ、それっ、それっ!イ〜トイ、イ〜トイ、イ〜トイ」
という音頭で胴上げが始まった。田中、野村もそれに続いた。
その光景を見ながら、僕は立命館大の主務・瀬川雄介に電話。松村豊司投手もブルーウェーブから6巡目指名を受けたからである。
「今、バタバタしているんちゃう?“おめでとう”とだけ伝えておいて」
僕がそう言うと
「ちゃんと松村にも伝えておきますので」
と、瀬川。
いつもテレビで観ていたドラフトであったが、今回は臨場感に溢れたものになった。
活躍を目の当たりにして来た彼等の奮闘を祈る。プロに入って終わりではない。勝負はこれからなのだから。
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ドラフト全体の雑感も書きたかったのだが…長くなってしまったので、また明日にでも。
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