我が弟を見守っているかのような
2004年6月29日 舞洲ベースボールスタジアムで久々に渡辺亮投手(日本生命)の投球を観た。
今春、同志社大から社会人野球の名門・日本生命入り。4月の第48回JABA岡山大会では早々に大会MVPを獲得する幸先の良いデビュー。
しかし、最近はあまり調子が上がらないようだ。殊に都市対抗大会予選前の関東遠征では
「あんな打たれたん初めてやと思います。マジでエゲツなかったっすよ…」(×三菱ふそう)
と電話で話した際に漏らしていたっけ。
**************
試合前、僕が三塁側ダグアウトの裏を通って、カメラマン席に向かおうとしていると
「島尻さん、久々っすね」
選手控え室前に置かれたクーラーボックスにしゃがみ込んでいたナベが声を掛けて来た。
「おうっ!赤の18番がよう似合うとんで」
「えへへ(笑)」
「まぁ、出番があったら頑張ってくれや」
「うぃっす!」
再会の余韻を楽しみたいところであったが、ナベは大事な試合前。僕も仕事中だ。時間にして僅か10秒足らず。薄暗い通路で短い会話を交わし、すれ違うだけに留まった。
日本生命×大阪ガスの試合が始まった。僕は写真を撮り溜める為(立ち上げるHPの素材用)、試合中に何度も一塁側、三塁側のカメラマン席を往復。時にはスタンドにも足を運び、カメラを構える。
試合の序盤。ちょうど三塁側のカメラマン席にいた時。ナベが目の前のファールグラウンドでキャッチボールを始めた。そして、カメラを持っている僕を見るとピースなんぞして来る。
「アホ!そんな写真、オレは撮らへんのや」
と返してやった。まぁ、ナベの耳に僕の声なんかは届いていなかったと思うが。
3×3で迎えた7回裏。ナベは日本生命の3番手投手としてマウンドへ上がった。
そして、空振り三振、空振り三振、捕邪飛で三者凡退に斬って取る。心なしかストレートの威力が同志社大時代より増しているような気がした。
記者席に戻り、白石智絵(共同通信社)に
「ナベの球、走っていますやんねぇ」
同意を求めたのだが、
「分かんない。もう心配で、心配で。まるで“我が子を見守っているかのような”気分よぉ」
白石は大袈裟に身をよじらせるだけだ。
「我が子って。白石さんがオカンって、若すぎるじゃないっすか(笑)」
「気分の問題。気分のね」
8回表。日本生命はリズムを作った渡辺の投球に応えるかのように、集中打で一気に4点を追加してスコアを7×3とする。
ところが、その直後の8回裏。渡辺は二死満塁の局面に立たされていた。
「同点はキツかったんで。4点取って貰って、ホンマ楽になりましたよ。だからと言って油断した訳じゃないんですけどね。マジ、ヤベエって(苦笑)。まぁ、四球を2つも出しちゃいましたからね。まだまだっすね」
初めて経験する緊迫した都市対抗予選。ベテランでさえも足がすくむ思いがすると言うのに、ナベは“マジ、ヤベエ”と軽く済ませてしまう肝っ玉の持ち主である。ルーキーには荷が重い場面を力で押しまくって、難なく切り抜けて(二ゴロ)しまった。
9回裏は遊ゴロ、空振り三振、中飛と11球で試合を締めくくる。
**************
「緊張はしなかったんですか?」(記者)
「いや、全然しなかったですね」(ナベ)
「あの緊迫した場面で登板する心境は?」(記者)
「最近のOP戦で調子悪かったんで。それでもチャンスをくれたことに感謝です」(ナベ)
と報道陣の質問に応えるナベ。でも、なんかちょっと違う!?
試合のヒーローであっても、ルーキーゆえに雑事もこなさなければならない。三塁側ダグアウトをホウキで掃いているナベを報道陣が取り囲むという珍妙な光景であったからだ。
「じゃあ、厳しい場面だという重圧はほとんどなかったんやね?」(僕)
「そうっすね。もっと厳しい場面で投げて来たこともありますからね。知っていると思いますけど(笑)」(ナベ)
「そうやなぁ(笑)」
**************
実に頼もしいヤツだ。こんな具合やったら“我が子を見守っているかのような”心配は要らないようっすよ>白石さん
でも、僕も心のどこかで“我が弟を見守っているかのような”気分やった。これからもそうなんかな!?
ちなみにナベのこの日の最速は151?やったらしい。これって自己最速ちゃう?
あと、どうでもええけど(苦笑)。鳴門工業高、同志社大と比較的、地味目なユニフォームに袖を通して来たナベ。せやけど、真っ赤でド派手な日本生命のユニフォームもマジで似合ってたで。
都市対抗行きの切符を掴むまで、あと1勝。
出番があったら、頑張れ!ナベ!!
今春、同志社大から社会人野球の名門・日本生命入り。4月の第48回JABA岡山大会では早々に大会MVPを獲得する幸先の良いデビュー。
しかし、最近はあまり調子が上がらないようだ。殊に都市対抗大会予選前の関東遠征では
「あんな打たれたん初めてやと思います。マジでエゲツなかったっすよ…」(×三菱ふそう)
と電話で話した際に漏らしていたっけ。
**************
試合前、僕が三塁側ダグアウトの裏を通って、カメラマン席に向かおうとしていると
「島尻さん、久々っすね」
選手控え室前に置かれたクーラーボックスにしゃがみ込んでいたナベが声を掛けて来た。
「おうっ!赤の18番がよう似合うとんで」
「えへへ(笑)」
「まぁ、出番があったら頑張ってくれや」
「うぃっす!」
再会の余韻を楽しみたいところであったが、ナベは大事な試合前。僕も仕事中だ。時間にして僅か10秒足らず。薄暗い通路で短い会話を交わし、すれ違うだけに留まった。
日本生命×大阪ガスの試合が始まった。僕は写真を撮り溜める為(立ち上げるHPの素材用)、試合中に何度も一塁側、三塁側のカメラマン席を往復。時にはスタンドにも足を運び、カメラを構える。
試合の序盤。ちょうど三塁側のカメラマン席にいた時。ナベが目の前のファールグラウンドでキャッチボールを始めた。そして、カメラを持っている僕を見るとピースなんぞして来る。
「アホ!そんな写真、オレは撮らへんのや」
と返してやった。まぁ、ナベの耳に僕の声なんかは届いていなかったと思うが。
3×3で迎えた7回裏。ナベは日本生命の3番手投手としてマウンドへ上がった。
そして、空振り三振、空振り三振、捕邪飛で三者凡退に斬って取る。心なしかストレートの威力が同志社大時代より増しているような気がした。
記者席に戻り、白石智絵(共同通信社)に
「ナベの球、走っていますやんねぇ」
同意を求めたのだが、
「分かんない。もう心配で、心配で。まるで“我が子を見守っているかのような”気分よぉ」
白石は大袈裟に身をよじらせるだけだ。
「我が子って。白石さんがオカンって、若すぎるじゃないっすか(笑)」
「気分の問題。気分のね」
8回表。日本生命はリズムを作った渡辺の投球に応えるかのように、集中打で一気に4点を追加してスコアを7×3とする。
ところが、その直後の8回裏。渡辺は二死満塁の局面に立たされていた。
「同点はキツかったんで。4点取って貰って、ホンマ楽になりましたよ。だからと言って油断した訳じゃないんですけどね。マジ、ヤベエって(苦笑)。まぁ、四球を2つも出しちゃいましたからね。まだまだっすね」
初めて経験する緊迫した都市対抗予選。ベテランでさえも足がすくむ思いがすると言うのに、ナベは“マジ、ヤベエ”と軽く済ませてしまう肝っ玉の持ち主である。ルーキーには荷が重い場面を力で押しまくって、難なく切り抜けて(二ゴロ)しまった。
9回裏は遊ゴロ、空振り三振、中飛と11球で試合を締めくくる。
**************
「緊張はしなかったんですか?」(記者)
「いや、全然しなかったですね」(ナベ)
「あの緊迫した場面で登板する心境は?」(記者)
「最近のOP戦で調子悪かったんで。それでもチャンスをくれたことに感謝です」(ナベ)
と報道陣の質問に応えるナベ。でも、なんかちょっと違う!?
試合のヒーローであっても、ルーキーゆえに雑事もこなさなければならない。三塁側ダグアウトをホウキで掃いているナベを報道陣が取り囲むという珍妙な光景であったからだ。
「じゃあ、厳しい場面だという重圧はほとんどなかったんやね?」(僕)
「そうっすね。もっと厳しい場面で投げて来たこともありますからね。知っていると思いますけど(笑)」(ナベ)
「そうやなぁ(笑)」
**************
実に頼もしいヤツだ。こんな具合やったら“我が子を見守っているかのような”心配は要らないようっすよ>白石さん
でも、僕も心のどこかで“我が弟を見守っているかのような”気分やった。これからもそうなんかな!?
ちなみにナベのこの日の最速は151?やったらしい。これって自己最速ちゃう?
あと、どうでもええけど(苦笑)。鳴門工業高、同志社大と比較的、地味目なユニフォームに袖を通して来たナベ。せやけど、真っ赤でド派手な日本生命のユニフォームもマジで似合ってたで。
都市対抗行きの切符を掴むまで、あと1勝。
出番があったら、頑張れ!ナベ!!
コメント