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 第75回都市対抗野球大会/大阪・和歌山地区 第1代表決定戦

 NTT西日本×日本生命(試合時間:3時間04分)

 N西  100000000=1  H8 E0
 日生  000000002x=2  H4 E0

 N西:●笠木−幸本
 日生:国安、土井、○渡辺−鷲北、藤田

 下の日記から続く。

 NTT西日本は走者を出すのだが、あと1本が出ない。
 7回表も二死1、2塁から2番打者・西川勝文内野手が中前安を放ったが、日本生命の中堅手・佐々木正嗣外野手の好返球で追加点が奪えない。

 かたや日本生命は8回まで散発3安打。左腕・笠木伸二投手の角度があるストレート、タイミングを外すチェンジアップ。そして、要所でのスローカーブに翻弄されていた。加えて、バントミス(7、8回と犠打失敗)、走塁ミス(7回牽制死)と拙攻続き。流れは完全にNTT西日本に傾いていた。

 9回表。日本生命はルーキー・渡辺亮投手を投入。二塁打こそ打たれたが、危なげなく無失点で切り抜ける。そして、9回裏。

 ベテラン・前田克也投手や抑えの徳留慶投手の継投も考えられたが、笠木が完封勝利を。そして、東京ドームを目指してマウンドへ上がる。この回の先頭打者・石田拓郎内野手は二ゴロで東京ドームまであと2人を打ち取るだけ。が、続く多井清人外野手にストレートの四球を与えてしまう。

「嫌な感じはしなかったですよ。結果的にはストレートの四球だったけど、ちゃんと捕手の構えていたところに球は行っていたから。球威も落ちていないし、まだまだ笠木は行けると。4-6-3のゲッツーで終わりみたいなイメージを持っていました」
 と試合後のNTT西日本・村本忠秀監督のコメント。

「もしかして、あの辺にドカーンと突き刺さったりしてなぁ」
 村本監督が併殺打で試合終了のイメージを想い描いていた時…別に日本生命を応援していた訳ではないのだが、僕は無責任に左翼席中段を指で指し示しながら、記者席で横に座っていた松倉雄太に話し掛けていた。
「金属バットだったら、あり得ない話しではないですよね」
 と松倉も応える。そのようなやり取りの約30秒後。笠木が投じた124球目のストレートがホームベース幅の中央。高さにすれば打者・下野敦司内野手のちょうどベルトの高さに。そう、要するに“ど真ん中”である。
 今大会、いまいち調子の上がらない下野であったが、名門チームの4番打者を務めている選手だ。さすがにこれは見逃さなかった。下野がバットを一閃すると打球は僕が指し示していた方向よりやや右。左中間に向かって行った。突き刺さると言うよりは吸い込まれる。実に滞空時間の長い放物線の終着点は無人の外野スタンド席であった。それはまるで…これまでスコアボードに0を並べて来た笠木を嘲笑うかのような時間にも感じた。劇的なサヨナラツーラン本塁打。日本生命が土壇場で東京ドーム切符を掴み取った。

 弾けるように三塁側ダグアウトから飛び出す日本生命ナイン。赤の大群がホームベース付近でダイヤモンドを1周して来たヒーローを手荒に歓迎する。その時、マウンド上の男は両膝を落とし、両手も地面に着けたまま…うずくまっている。見えるのは背番号16だけだ。

「悔しいーっ!」
 一塁側ダグアウト裏での村本監督の第一声。
「う〜ん…経験の差かな。まぁ、打った方が立派。下野君はやっぱり良い打者ですよ。これを監督の私自身が引きずったらアカン。笠木もよく投げた。今年はエースとして信頼出来る。打線も悪くはなかったんだけどなぁ。あーっ、でも、ホンマに悔しい。1球で2つアウトが取れるかと思えば、1球で2点を取られて試合が終わってしまう。まさに紙一重、天国と地獄。1球の怖さ、野球の怖さやね」
 そして、最後は
「次の教訓にします。冷静に、謙虚に。第二代表は必ず取りますよ。松下(電器)は16番(久保康友投手)でしょう。7月5日までにキッチリと調整します。頑張ります」
 そう言い残して、報道陣の前から去って行った。

 その後、僕は…敢えて、笠木のコメントを取りに行くことはやめた。このような時は“紋切り型”の応えしか出て来ないのが常である。また、僕が笠木の立場だったら、とても話しなんて出来ない。(新聞記者だったら、そういう訳にも行かないんやろうけれども)
 笠木はきっと次のマウンドで応えてくれるはずだ。1球の怖さ、野球の怖さを知ったことでの成長を。

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 5年前の第一代表決定戦(大阪ガス×日本生命)。同じ大阪ドームで、日本生命の岡隆博捕手はサヨナラ本塁打を放った。その岡が監督として日本生命を率いるようになって4年目。
「いやぁ、自分自身で打った時の何十倍も嬉しいですよぉ!」
 ヒーロー・下野の手を取り、岡は筆舌し難い満面の笑みを見せる。こういう場に居合わせるだけで胸にグッと来るものがある。

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