“晴れの舞台”

2005年3月23日
 見渡す限り薄灰色の空。
 外野スタンドでは色とりどりの“傘の花”が咲き乱れる。
 春独特の細くて短い雨が阪神甲子園球場の青々とした芝生と濃褐色のグラウンドを湿らせて行く。
 上空を旋回するヘリコプターの翼の轟音も近付いて来た。
 そして、時計の針が9:00ジャストを指し示すと、第77回全国高等学校選抜野球大会(以下、センバツ)の開会式は始まった。

 白い正装に身を包んだブラスバンドが演奏するサザンオールスターズの『君こスターだ』(今大会行進曲)に合わせ、33校(前年優勝・済美高も含む、前年準優勝・愛好大名電高は今大会も出場)が行進して行く。
「1、2、1、2」
 と大きな掛け声を出す学校。
 腕を真っ直ぐ伸ばし、元気良く見える学校もあれば、あくまでも整然とクールに歩みを進めて行く学校もある。
 また、各校のユニフォームにも目が留まる。今大会はホワイト・クリーム・グレー基調の学校が多い。東海大相模高はユニフォームをかつてのタイプ(淡いブルー基調)に戻していたのが印象的。あと、新聞などでも既に報じられていたが、東邦高もモデルチェンジ。その他にもこのセンバツ出場を機にマイナーチェンジしていた学校も数校あるが、割愛させて貰う。

 場内に
「○年ぶり△回目」
「初出場」
「21世紀枠での出場」
 とアナウンスが入る度に大きな拍手がスタンドから湧き上がる。

 僕もかつては高校球児であった。ただ、残念なことにこの聖地・甲子園の芝と土を踏みしめる機会には恵まれなかった。だからこそ気になる。今、目の前を通り過ぎる球児たちはどのような想いを抱いているのか?惜しみなく送られる拍手の嵐をどう受け止めているのか?
 また、スタンドにやって来ている人々はどうなのだろう?球児の父母をはじめとする身内や知人・友人、学校関係者、高校野球ファン…etc。誰もが特別な想いで開会式を見守っているに違いない。

 この聖地・甲子園の芝と土を踏みしめた球児は数知れず。しかし、それ以上に踏みしめることが出来なかった人数の方が多いことは言うまでもないだろう。だからこそ、憧れの場所であり、夢や目標にもなるのだ。そして、多くの人々を魅き付けて、幸せな気分にさせる。

 あいにくの雨模様であったが、この“晴れの舞台”に立った球児が羨ましく思えて仕方がなかった。でも、それは嫉妬の類ではない。純粋な尊敬に似たものとでも言えば良いのかも知れない。

 勝負事であるから結果としては勝ち・負けという観点は外せない。だが、“晴れの舞台”までのドラマをプレーの中から見い出すことが出来たら、もっとセンバツは面白くなるように感じる。

 肝心な試合の方は雨天中止となってしまったが、今年もセンバツの幕が切って落とされた。そう実感すると体の芯から何か熱いものがこみ上げ、身震いがした。

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 選手宣誓…HP『こちアマ』http://www.kochiama.com/の掲示板でも色々と話題になっていたが。
 今回の林裕也内野手(駒大苫小牧高・主将)の
 この世に生を受け十数年生きて来た中で、夢を実現させようとして一生懸命立ち向かうこと、そこに僕たちの人生があると気付きました。夢を追い続けるひたむきな姿が美しく輝いていると学びました。僕たちの為に多くの人々が見守って下さったことも知りした。ここまで成長させて戴き、支えて下さったみなさん、ありがとうございます。今、高校野球って素晴らしいということを実感しながら、感謝と一生懸命を胸に甲子園という夢の舞台に挑むことをここに宣誓します
 も実に素晴らしいと思いながらも、
『我々選手一同は〜』
 という紋切り型のようなものもある意味で趣きがあったようにも感じた次第。
 尚、職業柄、気になったのは
●一生懸命(もう一般化していますが、本来は一所懸命)
●高校野球って〜の“って”(まぁ、僕もよくこの表記は使いますが)
 という2点ですかね。  

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