えーっ、昨日は通い慣れた感もある!?近畿大・生駒グラウンドへ。
 練習を見学しながら、ネット裏で榎本保監督とミッチリ話し込む(約2時間)機会に恵まれる。主に、関西球界、指導者論について。
 僕が言うのも何であるが、榎本監督はとても腰が低い。“たわけライター”の愚かな問いにも、丁寧に応えてくれる。ありがたい限り。

 その後、またまた寮食(昼食)をごちそうになり(苦笑)。まずは2季連続ベストナイン、今春リーグ戦の首位打者(.386)を獲得した藤田一也内野手にインタビュー。
 藤田は非常に取材し易い選手であった。質問に対して、膨らみを持たせた応えを。内容も細身な外見からは想像出来ない骨太なもの。向上心に溢れていて(実際、急速な成長を見せている)、前向きな姿勢に好感を抱く。このまま関西を。いや、全国区で注目される選手になることを願う。

 次に、昨夏の甲子園選手権大会(興誠高9×8日章学園高、現ドラゴンズの日章学園高・瀬間仲ノルベルト内野手の“伝説の超特大弾”が飛び出した試合)で22安打を浴びながらも完投勝利を挙げた今泉直弘投手を直撃。様々なエピソードを聴くことが出来、楽しいインタビューであった。

 取り急ぎ、今泉の原稿に取り掛かる。締切に容赦なし(苦笑)。漫画アクション(双葉社)の『野球のツボを押しましょう!!』を日曜日に仕上げておいてホンマに良かったわ。
 今日も金子和豊内野手(大阪商業大)の取材。帰宅後に、この金子、藤田、山下永吉投手(大阪学院大)の原稿にも取り掛からなければ。う〜ん、キャパシティをオーバーするのは時間の問題やな…(+_+)


 江口義忠(ベースボールマガジン社)、大西英治(ブルーウェーブ広報)の手際良い段取りで、週明けに予定している取材の目処が立つ。感謝、感謝、大感謝。

 尚、昨日の朝一番。江口より取材の資料がクロネコメール便で届いたのだが。玄関前に立っていた(メール便を届けてくれたのは)のは顔見知りの関西学院大野球部の阿部貴志投手。
「この時期だけバイトしているんです」
 とのこと。メッチャ驚いたし、寝呆け眼&頭はグシャグシャ状態やったので…あぁ、恥ずかしかったよぉ〜(^_^;)

====================
>『カウカウ』の寺本さん(仁川学院高野球部OB会副会長)
仁川学院高出身のニエト・カルロス外野手(近畿大)、元気でしたよ。
さらに体付きが逞しくなって、中身の濃い練習をしていました。
榎本監督もとても期待しているようです。
また、ユックリと。

足取りは軽く

2003年7月24日
 昨日はうっとおしい雨が降りしきる一日であったが、帰り道、僕の足取りは軽かった。

 金子和豊内野手(大阪商業大)のインタビューを大阪商業大キャンパス内にある喫茶店で行なう。
 近鉄・河内小坂駅まで主務の前崎乃莉子が迎えに来てくれており、キャンパスへと案内された。

 金子は僕に会うなり
「とても緊張しています。どうか宜しくお願いします」
 と、初々しく頭を何度もペコペコ下げる。そして、
「あと、パソコンで日記も読ませて貰っています」
 社交辞令!?にも抜かりなし(笑)。

 小気味良いスピード感溢れるプレーが魅力の金子。今春の関西六大学リーグ戦でも首位打者(.415)、ベストナイン(二塁手)、平古場賞(新人賞)を手中にした実力派であるが、とても謙虚で“偉ぶった”ところがない。言葉に飾り気がない分だけ、純朴さも伝わって来る。

 東大阪市で生まれ育った金子は、決して“エリート街道”を突っ走って来た訳ではなかった。特別、体力的に恵まれている訳でもないし、故障(右手首)の為に手術も経験している。
「大学で野球が続けられるなんて思っていなかったです」
 金子自身はそうのように語るが、キラリと、光る何かがこの選手にはある。とにかくグラウンドで目立つ選手なのだ。大阪商業大のスカウティングに間違いはなかった。

 今回、金子を取り挙げることになったのは僕の意向が大きい。基本的にベースボールマガジン社の岡本朋祐と相談するのだが、金子に関してはリーグ戦開幕直後から強力にプッシュしていた次第。
 結果的に金子は、タイトルを獲得する活躍を見せた。スンナリと、話しも進み、取材対象の選手になったのであるが。タイトルを獲得していなくても、僕は
「金子を取り挙げましょうよ」
 と、主張していたはずである。
 機会があれば、金子のプレーを観て欲しい。そう願いつつ、僕は今回の原稿を書きたい(まだ書いていません…)と思っている。


 肝心のインタビューは、脱線することが多く(聞き手の力量不足…)、1時間半も要してしまった。でも、金子の野球への想い、背景。そして、人柄を感じるという点では有意義な時間だったのかも知れない。
 また、金子がプロ野球(選手の練習内容など)や他リーグ他大学の選手のことも貪欲に尋ねて来てくれたことが嬉しかった。だから、帰り道の足取りが軽かったのだろう。

======================
 帰路、偶然にバファローズの編成・柳川浩二と会う。
「今日、高校野球が中止になったでしょ。振って湧いたようなオフですよ。だから、カミさんと映画でも観に行こうと思って」
 柳川の横に寄り添っていた細身でキレイな奥さんも会釈をしてくれた。
 特に、この時期は多忙極まりないスカウトマン。うっとおしいと思われる雨も、急な夫婦デートを盛り上げる“粋なヤツ”に。心なしか柳川と奥さんの足取りも軽いように感じられた。
 何度もこの日記でも書いている、けったいな集団。いやいや、純粋に野球を愛する集いである“野球様”御一行が久し振りに梅田へ集結した。
 焼鳥に舌鼓を打ちながら、野球博士・江本雅朗、メディアプルポ・松本浩、放送作家・森脇尚志、放送作家・桝野幸宏らと毎度のごとく“野球バカ”話しに花が咲く。

 この“野球様”の面々、普段は世間で見逃されがちな話題に終始するのだが。さすがにタイガースの話題を避けて通れない。アツ〜ク語り合った次第。

 場所を移して、静かなバーへ。(江本は風邪気味であったので帰宅、関西テレビ・佐藤洋介が合流)
 ここで、下戸であるはずの森脇が
「吐いたらゴメンねぇ〜」
 と、アルコールを口にしたのでビックリ。まぁ、フォアローゼスの水割りを一口だけであるが。
 それにしても、今回の“野球様”は《森脇DAY=独壇場》の感。松本の
「う〜ん、来てるよ、来てる。関西放送業界に“第一次森脇ブーム”が。乗ってるねぇ♪」
 というコメントにも思わず頷いてしまうくらい。
 また、同じ放送作家(事務所も森脇と同じオフィス元気)の桝野は相変わらずのピンポイント攻撃。“野球のツボ”を心得ている仙人のような人だ。(←ちょっと大袈裟かな???)


======================
 明日は関西5リーグ対抗戦で注目した梅原伸亮投手(京都学園大)の取材。メッチャ楽しみ。


 気が付けば、アクセス数も60,000HIT超え。
 今後も変わらぬ御愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。


 岩田暁美さん(元ラジオ日本キャスター)の訃報に驚く。
 昨年、どこかの球場で(どこやったけ?甲子園球場かな???)御一緒した際は、お元気そうやったのに…合掌。


 日記に書くのも嫌らしいのだが…^_^;
>『Sportiva』(集英社)さん
>『野球小僧』(白夜書房)さん
>その他媒体の関係者各位

 是非、仕事を下さい。
 結構、切実です(苦笑)。
“マサカリ&トルネード投法”の梅原伸亮投手(京都学園大)を取材する為、京都・亀岡へ向かう。
 日頃、京都圏へ行く機会も多いのだが、阪急電車を利用するのが大半。今回のようにJRを利用することは多くない。そのような不慣れな部分。いや、単なる準備、調査不足で予定より大幅に亀岡へ着く時間がズレ込んだ。だって、京都駅から亀岡駅への電車は1時間に2〜3本しかないんやもん…。(阪急ならば、駅に着いたら電車に乗れる。みたいな感覚だけに)おかげで…初めて仕事をするカメラマン・橋田昌宏(ベースボールマガジン社)との待ち合わせに遅れてしまう。ホンマにスミマセンでした。猛反省。
「いやぁ、これくらいならば。よくあることですよ。電話も貰っているし」
 という橋田の言葉には救われたが。

 それにしても、亀岡まで向かう道程は遠足か修学旅行みたいであった。太秦→嵐山→保津峡と、絶好の観光スポット。仕事でなければ、川下りやトロッコ電車に乗りたかったものだ。


 山々に囲まれた京都学園大のグラウンドに到着。バックネット裏の部屋で監督の石田清が丁寧に応対してくれる。梅原の話題をはじめ、リーグ(京滋)や関西野球界のこと。そして、最も盛り上がったのは!?“高校野球の指導者が悪いのか?プロ野球選手が悪いのか?”というテーマ。これは近年の高校野球選手の守備(主に遊撃手)の捕球から送球へ移る動作の緩慢さを憂いたもの。
 近年の遊撃手は打球を捕球してから、2〜3のステップを踏む。そして体を一塁手に正対させて送球。これは松井稼頭央内野手(ライオンズ)や二岡智宏内野手(ジャイアンツ)の影響だろう。彼らは肩もスナップも強いので、このような芸当が出来る。だが、高校生遊撃手のほとんどはそうでない。しかも、打球の処理が早い訳でもない。だから、余裕がなくなって送球が抜けてしまい、悪送球になってしまう。
「私なんかは吉田義男(現野球評論家)さんの真似をしたものなんやけどね。今だったら、小坂(誠内野手、マリーンズ)あたりの真似をしてくれればええんやけど」
 と、石田は元遊撃手。そして、立命館大野球部OBらしい!?コメントをしてくれた。

 さて、話しが脱線した。肝心な梅原である。
 ちょうど練習メニューにシート打撃が組み込まれていて、梅原も2回×3(3人の投手で回りながら)の登板機会。調整期間ということもあって本調子ではないようであったが。やっぱり、ストレートの威力は半端でない。
 自信があると言うスライダーは少なく、カウント有利時(投手側)にはチェンジアップを多投。その辺は意識していたようだ。

 カメラマン・橋田も梅原を観て、驚いていた。
「この態勢がよく保てるよなぁ」
 梅原が振りかぶった際の“マサカリ&トルネード投法”を撮った画像を確認(デジカメ)しながら呟く。

 シート打撃での登板を終え、アイシングをする梅原。そのタイミングを見計らってのインタビューも無事に終わる。この成果は『大学野球 増刊号』(ベースボールマガジン社)に掲載されるので、是非。

嗚呼…

2003年7月27日
 嗚呼…疲労困憊っす(+_+)
 今日は取材もないので、高校野球の地方予選でも観に行きたかった(行かなければ!?)のやけれども、完全にグロッキー状態。肉体的なことよりも精神的なものが大きいかな???
 取材→執筆→入稿→資料整理と、ちゃんと流れ作業で仕事をこなせれば良いのだが、どうしても…この順序はグチャグチャになってしまうもの。仕方がないことだと割り切っていても、典型的な《A型・双子座(=自分勝手な几帳面人間)》としてはストレスが溜まりがち。駄日記を書くことさえもままならない…。

 明日から3日間はYahoo!BBへ。三輪隆捕手(ブルーウェーブ)の取材である。ただ、26失点&32安打を喫した(27日、対ホークス、福岡ドーム)直後なだけに…どのような顔、態度で行ったらええんや?まず、それが問題だ。
 予告通り、もう完全に自身のキャパシティーを超えました。
 文章を書くのは遅くはない。そう自負していたけれども。そんなこともないや…遅い、遅い(投げやり調)。恐らく、今週の半ば(木曜日)くらいまでは日常を語ったり、雑感を述べる余裕は一切ないはず。
 まぁ、“気まぐれオレンジロード”的な男なので、突発的に気合いが入る可能性も考えられるが断言も出来ない。(“気まぐれオレンジロード”と、異常に懐かしい漫画タイトルを書いてしまう時点で、思考回路はイカれているわ…)


 早期復帰を目指しますので、何卒御容赦下さい。
 でも、何とか途切れないように更新はするつもりです。(中身は薄〜いですけれども)
 相変わらずのキャパオーバー…。よって簡潔に書きたい。

『タイガースファンは“世界一”ですっ!』
 何人のタイガース選手がこのようなコメントを、ヒーローインタビューなどの場で発しただろうか。
 まぁ、ホームグラウンドでの熱烈、熱狂的な応援は選手を力強く後押ししてくれるのであろう。しかし、ごく一部の(でも結構、多数…ファンの分母が大きいので)心ないファンは不愉快極まりない。とても“世界一”に値するとは思えない。

 7月29日ベイスターズ×タイガース18回戦(阪神甲子園球場)
 スコアはベイスターズ6×3タイガースで、タイガースの攻撃は9回裏2死走者なし。打者・藤本敦士内野手が左翼線のファウルゾーンにフラフラと、飛球を打ち上げた。雨が降りしきる中であったが、ベイスターズの左翼手・多村仁外野手は落下点に入る。その時、左翼アルプススタンド席から幾本かの黄色いスティックメガホンが(多村を標的にして)投げ込まれた。
 試合開始から降る雨で濡れた芝のせいなのか?あるいは投げ込まれたスティックメガホンのせいなのか?多村は足を滑らせた。が、何とか飛球を捕球。試合終了となり、ベイスターズの対タイガースの連敗は16でストップしたのだけれども。

 以前にもごく一部(しつこいようだが相当数、分母が大きいから)のタイガースファンの悪行は非難して来たつもりだ。
 また、先日の“野球様”においても論争が繰り広げられたもの。
「そんなヤツは野球ファンの風上にも置けない、許せない」
「いや、ファン心理としては“アホ”、“ボケ”くらいは言ってしまうものだ」
 などと、侃侃諤諤…。
 だけれども、今日のような行為は絶対にイカン!!!
 こんな輩はすぐにとっ捕まえて、処分すべき。球場出入り禁止は当然のこと。野球観戦の資格なんてある訳がない。

 メディアプルポ・松本浩からも以下のような内容のメールが届く。(一部編集)

 選手は頑張っているのに…プロ野球機構やメディアがファン教育を真剣に考えんと。
 まぁ、その前に道頓堀川ダイブを認める発言をする能なし知事や、タクシーを引っ繰り返しても許されるようなコメントや映像を垂れ流すバカなマスコミを教育する方が先か!?

 う〜ん…。現況では、松本の言うように教育が必要になる。でも、教育されないと、押し付けられないとファンになれないなんて。この国のスポーツに対する意識はそこまで低いものなのか?(って、僕は玉木正之か!???)
 尚、松本はメディア側の人間である。

 ハッキリ言おう。
 タイガース及びタイガースを応援する人間は嫌いでない。でも、教育が必要だと思われる輩は大嫌いだ。


=====================
 このようなことを目の当たりにすると…スポーツライター(しかも、もっぱら野球)なんて名乗りながら、自分自身に力がないことがよく分かる。身に染みる。腹立たしくもあるけれども、それ以上に悲しくなってしまう。

大人の受け応え

2003年7月30日
 ブルーウェーブ・三輪隆捕手にインタビュー。試合前練習のさらに前。お昼の12:30より、Yahoo! BBスタジアムの応接室にて約1時間20分。連戦が続く中、貴重な時間を割いて貰い感謝である。

 インタビューの内容は―。
 低迷するチームの背景、要因、考えられる打開策
 個人成績好調の自己分析、打撃技術論
 センバツ準優勝を遂げた関東一高時代のエピソード
 明治大学時代、主に御大(故・島岡吉郎)の“島岡イズム”、“人間力”について
 バルセロナ五輪銅メダル獲得時(神戸製鋼在籍時)の話し
 プロ入り10年目にして初めて出場したオールスター
 などなど…。

 非常に語彙も豊富で、物腰も柔らかい。そして、会話の時に目線を絶対に逸らさない。
 僕的には“シッカリと、話しを聞き出すことが出来るのだろうか?”という不安で一杯だったのだが、三輪の大人らしい受け応えのおかげで円滑にインタビューは進んだのではないだろうか。また、江口義忠(ベースボールマガジン社)に揃えて貰った資料を僕なりに噛み砕いて臨んでおいて良かった。“備えあれば憂いなし”である。

 いつもインタビュー後は
「勉強になったなぁ」
 と、感じるものだが。今回の三輪の話しは深いもので、一層に“野球”の魅力を再認識した次第。

 この成果を『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)の《夢追人》で発揮したい。詳細は後日に。

 何人かの『野球小僧』日記作家も“高校球児の涙”について触れているので。

 間もなく、第85回全国高校野球選手権大会の代表校が出揃う。憧れの甲子園を目指したが、文字通り“涙を飲んだ”球児は星の数にも勝るとも劣らないのではないか。

 涙には様々な理由があるだろう。それは純粋な悔しさであったり、3年間のほとんどを野球に捧げて来た誇りであったりと。


 僕自身も高校時代。最後の夏も埼玉県大会のベスト16(5回戦やったかな!?)で散った。対戦相手は県下でも有数の進学校であった大宮高。正直、負けるとはチームの誰もが思っていなかった。心はその先の上尾高(春の県大会で敗戦した相手)。また、春日部共栄高、聖望学園高など。(確か、浦和学院高はブロックが違ったんちゃうかなぁ???)まぁ、今思えば、一戦、一戦を勝ち抜いていくという気持ち欠けていたのが一番の敗因だったのかも知れない。

 試合の詳細は省くが、僕らは1×3で敗れた。試合後、チームメートの大半が号泣していた。でも、僕は不思議なことに涙が流れなかったのである。
 考えられる原因としては―。
○左手首を痛めており、ベストコンディションには程遠く(打順も本来の中軸ではなく、下位であった)
○この試合、公式戦では初の途中退場(代打を出された)
○勝てると思っていたので、実感が湧かなかった
 などが挙げられるだろう。

 スゴイ器の小さい人間のようで恥ずかしいのだが。僕はその時、試合に負けたことよりも途中で代えられてしまったことの腹立たしさ、悔しさ、怒りの方が大きかったのは事実。涙腺は脆い方ではあるが、涙が出る状況ではなかったのである。
 ただ、学校へ戻るバスの中。普段、僕はチームメートで仲の良かった井尻裕之とバスの最後部座席を陣取り、試合前も試合後もギャアギャア騒いでいたものだが。さすがにその時ばかりは、頬杖を付きながら車窓の風景ばかり見ていた記憶がある。やや冷静さを取り戻して、次第に頭の中は真っ白に。そして、胸の中がかきむしられるような気分を覚える。アスファルトの地面の上に叩き付けられてグシャグシャになったリンゴにでもなったような感じであった。それでも、涙が頬を伝わることはなかった。


 生涯で一度だけの“あの夏の日”。絞り出すまで涙しておけば、心行くまで涙していたならば。そういう終わり方をしていれば、その後の野球人生は変わったものになっていたのではないか?時折、そのように思うことがある。単に、体の良いこじつけとエクスキューズであるけれども。それだけ、あの場で流す涙にはとても価値があるように思えて仕方がない。

 尚、主将を務めていた広池浩司(現カープ投手)も泣いていなかった。本当にそのようなコメントをしたかどうかは定かではないが、翌日の新聞には

【負けて悔いなし涙なし 爽やかな笑顔】
「高校野球生活は終わってしまったけれども、この素晴らしいメンバーで戦えたことに満足」と、爽やかな笑顔を残し、主将の広池は大宮市営球場を去った。

 みたいに書かれていた。ってことは、泣こうが泣くまいが。結局、その後は本人の力量によるということなんかなぁ(苦笑)。


======================
 泣かない高校球児を見ていると、ある歌のフレーズが頭をよぎる。
『卒業式で泣かないと 冷たい人って言われそう〜』(卒業/斉藤由貴)
 季節外れではあるが、高校球児にとっては一つの卒業式みたいなものだ。いや、最後の夏に泣くことが出来なかった人間の屈折した感情なのかも?やっぱり、泣いておけば良かったんかな!???

1 2

 

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索