王者と挑戦者

2003年10月19日
 昨日は関西六大学秋季リーグ戦の優勝が懸かった試合を皇子山球場(滋賀県大津市)にて観戦。本来ならば、第4週に組み込まれていた“産龍戦”(京都産業大×龍谷大)は引き分けも含み、4戦目まで突入。加えて、天候や試合日程、球場の兼ね合いなどもあり、第7週と第8週の間に急遽、組み入れられたのである。
 この間、京都産業大、龍谷大は苦労しながらも着実に勝点を積み重ねていた。2連覇中の京都産業大は9勝2敗1分の勝点4。3季振りの王者奪還を目指す龍谷大は9勝3敗2分で勝点4という具合。勝率は関係なく、この“産龍戦”の4戦目(これまで1勝1敗1分)で勝利した方が勝点5となり、リーグ戦優勝となる訳である。

 試合前、勝村法彦監督(京都産業大)、椹木寛監督(龍谷大)をはじめ、中心選手などから話しを聴く。誰もがリーグ優勝を意識しながらも普段通りの戦いをすることを強調していたが、椹木監督だけは
「これまでは他校がウチを潰しに来ていた。でも、ウチはもう2季、優勝を逃している。今日はウチが産大さん(京都産業大)を潰しに行く、挑戦者という立場なんです。展開にもよるけれども積極的に仕掛けて行きますよ。監督2年目で選手の力量、持ち味以外にも性格的なところも把握して来たつもりですしね」
 と、勝負に対して、ギラギラした想いを漂わせていたのが印象的であった。

 試合はまだ薄暮の残る17時01分にプレーボール。龍谷大打線が3回に2点、4回に1点を奪い、京都産業大のエース・森田竜平投手をマウンドから引きずり下ろす。椹木監督の宣言通り、無死走者一塁からバスターを決めたりなど、積極的な仕掛けでチャンスを拡大させて行く姿勢に挑戦者のガムシャラさを感じた。

 龍谷大のエース・齋藤信介投手も本調子ではなかった。気負いのせいか、必要以上に力が入ってしまうので腕が振れない。それでも、要所は締める。
「投球内容は覚えていないです。とにかく気合い、気持ちで投げました」
 試合後にそう語っていたように、何度もマウンド上で吠え、拳を小さく突き上げる仕草が多かった。(意識的にではなく、自然にやっていたと言う)

 試合は龍谷大3点リードのまま最終回まで進む。齋藤は9回裏二死まで京都産業大を無失点に抑え、完封勝利は目前。しかし、そこから京都産業大が王者の意地を見せる。風呂本拓也内野手、代打・河野大輔、安井亮太外野手の3連打で1点差に詰め寄る。
「こっちも気合い負けはしていなかったんですけど、向こう(京都産業大)の必死さがヒシヒシと、伝わって来ました。最後まで投げたかったんですけどね」
 齋藤はあと一死が取れずに無念の降板。柳瀬明宏投手の救援を仰ぐことになる。だが、
「お前しかおらんのやで。頼むぞ、任せたぞ」
 と、今季、急成長の柳瀬投手への信頼を寄せていた。
 その柳瀬は四球を一つ与えたものの京都産業大の主将・千草正樹捕手を投ゴロに打ち取り、ゲームセット。龍谷大がリーグ優勝を決めた。

「ムチャクチャ嬉しい。泣きたいくらいです。監督就任早々にもリーグ優勝を決めましたが、あの時は杉山(直久、現タイガース)、植(大輔、現ドラゴンズ)がいたから。今回はホンマに嬉しい」
 王者返り咲きに椹木監督は興奮気味。かたや勝村監督は
「残念ですね。でも、最後に下級生が粘りを見せてくれたことは来季以降に繋がる。新しいチームになりますが、一から出直しです。挑戦者として」
 とのコメントを残した。

 王者と挑戦者の図式が入れ替わったことによって、さらに“戦国関六”が面白くなるに違いない。大阪商業大、神戸学院大、大阪学院大、大阪経済大も挑戦者として、王者の座を目指して欲しいものだ。来春を楽しみにしている。


 それにしても、皇子山球場は遠いなぁ(苦笑)。

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