雨中の決勝戦

2003年11月3日
 3日連続で南港中央球場へ足を運ぶ。“大阪市長杯争奪第1回関西地区大学野球選手権大会”の決勝戦(大阪産業大×龍谷大)が行われるからである。

 この日の関西地方の天候は…朝から生憎の雨模様。まずは野球小僧・松倉雄太より
《高校野球、近畿大会(皇子山球場)は中止になりました。南港は大丈夫ですかね?》
 といった旨のメールが入る。そこで、南港での試合が行われるかどうかを尋ねる為に、頼りにしている敏腕・古谷純一(近畿大、関西学生連盟委員)に電話を掛ける。だが、天候、グラウンドコンディションが微妙な状況。
「とりあえずは行う方向ですが」
と、古谷。そういうことで、松倉や朝日新聞・野村周平、共同通信社・白石智絵らとマメに連絡を取り合いながら、南港へ向かった。

 南港へ着いた頃、雨はドシャ降りであった。だが、幸いにも南港中央球場は人工芝。試合開始を1時間遅らせて(12:00→13:00)、決勝戦の幕が開くことに。

 午後になったら雨は降り止むという予報であったが、雨はいっこうに降り続けたまま。詰め掛けた観客、関係者らの大半がスタンド上部にある屋根(僅かなスペース)の下で雨を凌ぎながらの立ち見という状況。そして、この決勝戦は明治神宮大会へコマを進める大事な試合。また、両校(大阪産業大、龍谷大)共に連戦。ベストコンディションで試合をして欲しかったのだが、天候が相手では文句の言いようがないといったところか。

 試合展開は互いの投手力の高さを見せたと言えば聞こえは良いが…失策、バントミスなどが多かったのも事実。両校、決め手に欠いた。まぁ、これも悪天候が少なからず影響していたのかも知れないから、あまり言及しないことにする。

 試合は大阪産業大1×1龍谷大の同点のまま、延長戦に突入。これは龍谷大にやや有利な感。それは大阪産業大のエース・徳山征守投手は3試合連続(3日連続、ロングリリーフもあり)のリリーフ登板。体と心の疲労がピークに達しているのは火を見るより明らかであった。また、チームの命運を任すことが出来る投手がもうベンチにいないというのは正直なところ。それに引き換え、龍谷大はリーグ戦でも実績のある下口哲也投手、竹原俊介投手が残っていたし、何よりも後攻であるのは大きなアドバンテージだ。

 その予想が当たった訳ではないだろうが、11回裏に勝負は決まった。
 疲労困憊の徳山が制球に苦しみ始める。四死球やワイルドピッチ(2個)が絡み、一死走者1、3塁となった。ここでセオリーならば、ベンチは満塁策を指示するのだろうが、徳山は本郷峻介内野手と勝負…本郷の放った打球は左中間を破り、龍谷大が劇的なサヨナラ勝で3年振り2度目の明治神宮大会出場を決めた。

 試合後、初の神宮出場を阻まれた大阪産業大のベンチ裏。選手の大半が号泣していた。指揮を奮った藤田透監督までもが目に涙を浮かべていた。そのような時にインタビューをするのは気が引けるのだが、こっちも仕事である。何故、満塁策を指示しなかったのかは尋ねておかなければならない。
「ここまで徳山で勝って来たんです。最後は徳山に任せようという判断です」
 藤田監督はそう語り、ここまで勝ち続けて来た選手を褒め称え、感謝の気持ちでいっぱいだと続けた。そして、
「来年も機動力が使えるメンバーが残る。そういうスタイルに、個々の底上げで再挑戦したい」
 力強く雪辱を誓った。


 尚、大会MVPは齋藤伸介投手(龍谷大)が。敢闘賞には徳山が選ばれた。

 明治神宮大会は11月14日から開催される。
「とにかく、苦しい戦いであっても一つ一つ必ず勝ちます。低迷続き、全国大会で勝てないと言われている近年の関西勢。今春(大学選手権)、関西勢の全てが1回戦で敗れた時に、榎本さん(保、近畿大監督)が責められた気持ちは痛い程、分かります。絶対に勝ちます」
 龍谷大・椹木寛監督がそう語っていた時にちょうど、榎本監督と立命館大・松岡憲次監督が
「椹木さん、おめでとうございます。頑張って下さいよ」
 と、偶然、ロッカー前通路に現れた。

 関西圏を拠点にして、活動している僕も期待している。とにかく勝ってくれっ!

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