細工

2004年11月24日
『こちアマ』http://kochiama.com/を御覧になっている方はお分かりでしょうが、春・夏の甲子園、都市対抗、日本選手権の取材はホンマに疲れます。
 でも、好ゲームを一気に観ることが出来るうえに、選手、監督、ファンなどから色々な話しを聴くことも可能であるのは嬉しい。

 書きたいことはたくさんあるのだが…簡潔にワンエピソード。

 JR東日本東北戦で逆転三塁打を放った石田拓郎内野手(日本生命)からコメントを取っていたのだが、話しはその次打席のスリーバント失敗にまで及んだ。
「あれはですねぇ、細工してしまったんですよね」
「細工とは?」
「向こうのバントシフトがハッキリしていたでしょう」

 確かに。
 石田が逆転打を放つ前に日本生命は藤田和生捕手が無死走者2塁で送りバントを試みたが、JR東日本東北内野陣の猛プレッシャーで走者を進められずにいた。
「初球は確認の為にわざとバントをファールしたんです。やっぱり、一塁手も三塁手もプレッシャーがきつかった。じゃあ、次はバスターしたろうと。でも、それもファールになってしまって。で、結局はスリーバント失敗ですよ。これは計算外(苦笑)」

 素人考えで
「送りバントも一発で決められんと…次はバスターで、最後は走者を進められずに」
 と思っていたが、ベンチのサインではなく、石田自身の判断。しかも、そのような伏線があってのプレーだということに驚かされた。だから、野球は面白い。また、石田の思惑通りにならないところも野球の深いところだ。

2塁に走者を置いた時

2004年11月24日
 本日の日本選手権第2試合目(シダックス×三菱重工名古屋)でジャイアンツ自由獲得枠の野間口貴彦投手(シダックス)が登板した。
 130球を投げて、被安打3本、与四球1個、奪三振6個で完封勝利。
 一見、ナイスピッチングのように思えてしまうが、野間口本来の投球ではなかったというのが率直なところだ。

 僕はあまりスピードガンを“信仰”していないのやけれども、この試合でのMAXは145?。常時135、6?であったので正直、物足りなさを覚えた。
 また、野間口自身も試合中に何度も小首をかしげ、白球を必要以上にこねる仕草が目立った。
 これは何よりも本人が満足していない証し。(試合後のコメントもそうであった)それなのに、平気な顔をして
「ナイスピッチングでしたね」
 と言ってしまう新聞記者の観察力って???

 野間口が本調子でなかったのは、これまでのノーワインドアップからワインドアップに。そして、得意な球でもあるフォークを封印。そういう背景もあったのだろうが、明らかに他に原因があったと僕は確信していた。

 実は野間口の投球の大半を京都産業大の勝村法彦監督と話し(基本的には野球論議)をしながら観ていた。そして、気付いたことは野間口の重心が背中に掛かっていたということである。
 念の為にカメラマン席などでも確認すると、やはり重心は背中側であった。
 セットポジションの際も打者側の左足を少しクロスにしているのでクローズド状態になっている。だが、重心が背中側に掛かっているので…左肩が開いているとまでは言わないが、投球時に必然的に開きが早くなる。だから、本来の球威も出ない。そのように勝村と分析していたのだ。

「光原(逸裕投手、JR東海→今ドラフトでオリックス2巡目指名)なんかもそういう時があるんですよ。でも、走者を2塁に置くとセットポジションで2塁走者を見るでしょう。それによって重心が前に掛かるようになって、左肩が開かない。良い球が行くんですよ。光原は得点圏に走者を置いた方が良いピッチングをした(笑)」
 勝村の話しに僕はセットポジションの格好をして、2塁走者を見る動作を試みる。
「なるほどぉ、確かにそうですね」
 と納得することしきり。

 で、以下、こじつけではなく。
 野間口がMAX145?を出したのは…7回裏一死走者2塁の時であった。セットポジションから2塁走者を見て、すぐに投球動作へ入った時。僕は思わず
「あっ!」
 と大声を出してしまった。野間口の重心が背中側に掛かっていなかったのである。それでバックスクリーンの電光掲示板に目を向けると【145km/h】と表示された。

 これ、実話でっせ!

 次の登板の機会にこの点を野間口は修正出来ているだろうか?非常に興味深い。

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