“手の平返し”

2003年5月1日
 今日から5月。“五月晴れ”とは良く言ったもので、関西地方(って、西宮ね…)は雲一つない快晴であった。気温も高く、Tシャツだけで充分に過越せるのは身軽になったようで喜ばしい。

 ペナントレース開幕から1ヶ月余り。開幕戦こそベイスターズに敗れたものの好調を維持して、セ・リーグの首位を走るタイガース。
 列挙して行ったらキリがないくらいの勝つ要素に、ありがたくない計算違いを凌ぐ“嬉しい誤算”でカバー。磐石とは言えないけれども、昨シーズンの経験とオフの補強が活きているような形だ。
 僕的にも、タイガース関連の記事を『Sportiva』(集英社)に寄稿したこともあるので、一安心というところか。

「もう優勝は決まったでぇ〜♪ だって、強いんやもんタイガース」
 僕が生活している土地柄が土地柄なのか!? 毎日、そのような声を耳にする。ただ、ちょっと待って欲しい。ペナントレースは140試合の長丁場。まだ30試合も戦い終えていないやん。
 確かに、タイガースは弱くない。優勝という明確な目標に向かって、勝ち星を積み重ねるチームになって来ているし、勢いも感じる。ただ、真の強さ。それが問われるのは“現在”だけではない。優勝争いの佳境での強さ。そして、来シーズン以降にも繋がるものでなければならない。浮かれるのには気が早過ぎるっしょ。でも、それがタイガースファンの愛すべきところでもあるんかな。まぁ、ファン心理ということで大目に見ることに(笑)。

「アホ!ボケ!カス!何でこんなん獲ったん?頼むから、ハム(ファイターズ)に返したって。ホンマ、要らんわ…。嫌いやわ」
 昨シーズン、FAでタイガースに入団した片岡篤史内野手に常々、浴びせられた代表的な罵声。(注:過去形)
パ・リーグからの移籍、人気球団という重圧などなど…。僕も
「そんなメチャクチャ打たんやろう」
 とは思っていたが、その予想をもはるかに超える不振を見せた片岡。技術的にも、精神的にも“ドン底”を味わった。
そして、復活を期した今春のキャンプ。順調に仕上げていたにも関わらず、脇腹痛で無念のリタイア…開幕二軍スタートとなる。
 しかし、そこから片岡は簡単に沈まなかった。まだ昨シーズンの雪辱を晴らしている途中であるけれども、ここ数試合の活躍、貢献度は説明するまでもないだろう。
「さすが“片岡様”やわぁ。やっと慣れて来たんやな。やっぱり、モノが違うで」
 上記のセリフは僕の憶測であるが、ボロカスに片岡をこき下ろしていた輩は“手の平返し”。きっと片岡を賛美、褒め称えているに違いない。

 これもファン心理の一つなのかも知れないが、僕的には多いに疑問符が付く。

 野球は好き。そこそこ野球に関する知識もある。ただ、可哀相なことに真の野球の楽しみ方は知らない。結局は目先の勝ち負けにこだわり、短いスパンでしか野球を捉えられない。野球だけでなく、他の事象にもそのような傾向が強い。

 ストレスの発散、解消…確かに、大声を出すことは良いのだけれども、必要以上に選手を罵る必要はない。明らかなボーンヘッドに対して、手厳しくなるのは分かるけれども。
「選手への愛情の裏返しや」
 というエクスキューズも考えられるが、根底にリスペクト(=尊敬)があるようには到底思えない。単に自身の機嫌に左右されているだけで短絡な言動。で、こういう輩に限って、
「野球を愛している」
 恥ずかし気もなく、平然と、のたまっている。勘弁して欲しい。

 漠然とはしているけれども、これからの僕の活動の中で、このような人間を少しでも減らしたい。僕の書いたモノで野球選手へのリスペクトを、少しでも多くの人間に抱いて貰えるようになれば、爽やかで心地良い気分になれるだろう。そう、5月の緑風を感じるように。


“手の平返し”に耐えるのはプロ野球の世界に身を置く者の宿命。いや、プロ野球にとどまらず、全ての分野に該当する宿命かも。僕らの日常の生活や人間関係にも悲しいかな溢れている。
 現に、僕も“手の平返し”を感じることもある。また、その逆で、知らず知らずのうちに“手の平返し”をしてしまっている恐れもある。うん、多分、あるんやろうな(涙)。
“手の平返し”って、嫌な言葉やね…。


 秘密メモを始め、たまに
「文章を書くコツを教えて下さい」
 というような旨がメールなどでも寄せられる。
 僕自身、間違いも多いし、そんなに文章が巧いとは思っていないので、むしろ教えて欲しいくらいなんですけれどもね(苦笑)。
 ただ、コツかどうかは分かりませんが、ヒントとして!???
 学生時代に受けた国語や現代文での筆記テストを思い返すことは多いです。
 随筆文などの問題があったでしょ。
 空欄に接続詞を当てはめたり、指示語が何を表しているのかを答えたり。
 そのようなことを考えると言うか、意識することはあります。

 4月28日の日記で触れた通り、『野球狂のネタ』(関西テレビ)の関係者中心で結成されている“野球様”たる集いが扇町の“じげん亭”にて開催された。
 僕以外の出席者は
 佐藤洋介(関西テレビ編成局)
 江本雅朗(大阪ガスより関西ビジネスインフォメーション人材事業部へ出向/通称・野球博士、野球クイズ王)
 松本浩(メディアプルポ)
 武市暢(メディアプルポ)
 桝野幸宏(オフィス元気/放送作家)
 森脇尚志(オフィス元気/放送作家)

 この上記のメンツに
 高島公美(関西テレビ編成局)※佐藤の同僚
 田中哲也(JRA総務部)※松本の学生時代からの友人
 も加わる。

 江本、松本、武市、森脇は大阪ドーム(バファローズ−ファイターズ)を観戦後に合流。本塁打が9本も乱れ飛ぶ空中戦を満喫出来たせいか
「いやぁ〜、良かった♪“野球浴”、“本塁打浴”が満たされた試合でしたわ」
 と、笑顔を見せる。尚、“〜浴”とは森脇が発した言葉。“日光浴”や“森林浴”などと同義であると思って貰えれば良い。要するに、野球、本塁打を存分に浴びたということ。うん、深い…言葉だ。
 しかし、その本塁打のことよりも
「貴重なものを観た。エチェバリア(エンジェル・エチェバリア外野手、ファイターズ)の補殺っ!多分、もう観ることはないはず」
「田中幸雄投手コーチ(ファイターズ)のデカさ(公称190?)に感激。ホンマにデカイ!」
「DTクローマー(デヴィッド・クローマー外野手、ファイターズ)の途中出場に熱い声援を送った。肝心のクローマーは初球を一ゴロ…。で、周囲は大爆笑」
 などの訳分からん話題で盛り上がる。
 そう言えば、試合中に松本から“観客席にDTクローマーの親発見!”というi−photoメールも届いていたっけ。単に、外国人の観客だったようであるが(苦笑)。

 宴の中心は、野球博士・江本持参の“プロ野球人名辞典”によるクイズ大会。どうでも良い予備知識や下世話(下ネタっす…)が間に挟まりながら、3時間以上にも及ぶ長丁場(笑)。
「小学校3年生から野球を始める」←大体、それぐらいからやろうっ!
「○○州立大学出身」←どこやねんっ!
「父親はビルマで戦死」←そんなん知るかいっ!
 など、何のヒントにもならなかったり、くだらないエピソードから問題は読み上げられる。まぁ、次第に出身校や記録も補足されるので、そのうちに正解は出る。しかし、マニアックな人物が出題される傾向強し。(メイン出題者・森脇)
「多分、この場で聞くことがなかったら、死ぬまで思い出すこともない選手の名前ばかり」
 というような人選ばかり。
「この集まりは“痛い”って言うか、“激痛”ですよね?」
 誰かがしみじみと、漏らすのにも迷うことなく頷ける程、明らかに“オタク”の世界である。野球好きの宴は全国で数多くあれど“野球様”の異質な空気は群を抜いているはずだ。でも、“野球様”は異常に明るい。そして、みんな仕事の役に立っているのが救いか!???

 僕もこのクイズには強い方ではあるが、やっぱり、野球博士・江本の守備範囲の広さには脱帽。とてもかなわない。
 ちなみに新メンバーの高島、田中も相当なツワモノであったことも忘れずに書いておこう。

 そう、この“野球様”―。
 いつかまた収録されるであろう『野球狂のネタ5』への布石。打ち合わせであるらしい。次回はいつ開催されるんやろう???

 楽しい時間は瞬く間に流れて行く。帰宅は26:20…。
 おかげで日記の更新も遅れ気味っすm(_ _)m


>“野球様”のみなさん
 本当にお疲れ様でした。
 また、多いに盛り上がりましょうっ!!

巨大化にブレーキ

2003年5月3日
 元来の体質もあるのだろう。僕は太り易い体質である。←酒飲みだしね…。
 大学時代、約1ヶ月のオフシーズンでは10?の体重増は当たり前。先輩、同回生は勿論、後輩にまで
「よく短い期間で、そこまで肥えれるもんですよねぇ」
 呆れられてしまう始末であった。
 ホンマ、キャンプまでに体重を落とすのに大変だった。

 大学卒業後、気にはしつつも着実に僕の肉体は巨大化の一途をたどる。若かりし頃の食欲を忘れられずに、ピーク時(サラリーマン2年目)は歩くだけで息が上がるし、膝もすぐに痛くなる。ベルトのバックルも常に下を向いていたもの…。まぁ、そこからはさすがにダイエットしたけれども。

 そこそこの背丈、骨格などのせいもあるのだろうか
「いや、太っては見えへんで。ガッチリしている」(社交辞令込み!?)
 そう言われることも多い。でも、昔の写真を見る度に思う。
「紛れもなくブタやん…(涙)」
 特に、顔の輪郭、腹回りの貫禄には驚くばかり。

 と言う訳で、地道ながらもダイエットすることを決意した次第。

 まずは適度な運動。時間にゆとりもないし、体力も落ちているので無理は禁物。あと、街中などでは極力、エレベーターやエスカレータは避けたい。

 次に入浴方法。前回ダイエット時に効果の高かった“半身浴”を実施することにする。

 そして、何よりも留意しなくてならないのは食事である。
 仕事のせいにしてはいけないが、食事を摂る時間は不規則。ましてや高校野球、大学野球、社会人野球の観戦が続くと、食事をしているという意識が薄れて行く。試合の合間に惰性で“かっ込む”ことになる。だから、食事をしたという満足感もなく。って言うか、食事をしたことすら忘れてしまう。で、また、無駄メシにありつくという悪循環。よくよく思い返せば、そのような時が多い。まぁ、あくまでも野球観戦は仕事なので、ビールやツマミが無縁であるのは救いやけれども。

 これらを意識すれば、巨大化にブレーキは掛かるはずだ。

 急激に痩せることはないと思うが、少しスリムになった僕を見掛けた際には
「ちゃんとダイエットを実行しているんやね」
 と、誉めて下さいな(笑)。


 彼女からのハワイ土産であるシャツ(USA/XL)の数枚、ジーンズ(W36×L34)2本がピタピタなのはマズイからな…。
 立場上、公正な目線で野球を観なければならない。だけど、僕も血の通った人間だ。取材をさせて貰ったり、親交のある選手や監督、コーチには“勝って欲しい”と、ついつい思ってしまうものである。

 今シーズン、カープの開幕投手を務めた“ミスター完投”こと黒田博輝投手が苦しんでいる。
 昨夜のジャイアンツ戦も6回裏に突如、乱れて5失点で逆転を許す。その後、カープは3点をもぎ取り、再逆転に成功したので黒田に黒星こそ付かなかったが…。結局はジャイアンツのサヨナラ勝ち。敗戦チームの先発投手。ましてや、エース格としては何ともやり切れない気持ちであろう。

 1ヶ月前の4月5日(ジャイアンツ戦、広島市民球場)。
 前日の試合を雨で流し、スライド登板ながらも黒田は目を見張る好投を見せた。ストレートは力強く、自慢の高速フォークは冴え渡る。しかし、投げ合った39歳・工藤公康投手(ジャイアンツ)はそれを上回る投球内容であった。特に、カーブのキレは圧巻で、13奪三振(毎回)の完封勝利。
 ちなみに敗戦投手となった黒田が1点を失ったのは捕逸によるもの。自責点ではなかった。
 それ以来、黒田は勝利の女神から見離されているうえに、投球内容も芳しくないように思える。依然、開幕戦(3月28日、スワローズ戦、神宮球場)で挙げた1勝止まりという現況。もしかしたら、昨シーズンも苦しんだ腰痛でも患っているのかな?と、心配になってしまう。

 僕の知っている黒田は実直な男だ。ありきたりな言い方だけれども、非常に律儀なナイスガイ。1杯600円程度のアイスオーレをごちそうしただけでも
「ホンマ、スミマセン。ごちそうさまでした。ありがとうございます」
 深々と、何度も頭を下げて、礼を言う。
 尚、キャンプ中にも関わらず、こちらの一方的なお願いにも快く応じてくれたりもしている。(2月8日の日記参照)

 また、残念なことに黒田の母親(靖子、02年6月2日逝去)に会う機会には恵まれなかったのだが、元プロ野球選手(51〜53年、南海ホークス3連覇時の主力外野手)である父・一博さんにはインタビューが出来た。
 こちらも細心の注意を払っていたつもりであったけれども、亡くなったばかりの奥さんに関する質問が集中してしまった。(要反省)それでも、涙を堪えながら、一つずつ丁寧に応えてくれた父・一博。その姿と黒田が重なって映る。どこまでも“真っ直ぐ”なのだ。

 現在、“勝てないエース”はあまりにも“真っ直ぐ”に悩んでいるに違いない。僕も励ましの電話やメールをしたいのだが、きっと“真っ直ぐ”な男には重荷になってしまうだろう。よって自重している次第。

《苦しまずして栄光なし》
 黒田が書くサインの横に添えられる文句。今、苦しんだ分だけ大きくなれる。そう信じて、マウンドに登って欲しい。

 頑張れっ!ミスター完投


 ※工藤公康投手(ジャイアンツ)は、明日の5月5日が40歳の誕生日です
 この日記を熱心に読んでくれている方は薄々と、勘付いているはず。
 実は、4月28日(龍谷大−京都産業大、西京極球場)以来、野球を生で観ていない。まぁ、サボリと言われてしまえば、それまで…。僕も反論のしようがない。
「現場に足を運ばなくてはイケナイ」
 と、散々、主張しているのに…。

 現在、基本的には自宅に篭り、書き下ろしを執筆中。あと、これまでに書いたモノを加筆修正しているのだ。
 これしきのことで弱音を吐いても仕方がないのだけれども、“気ままな日記”ということで。
「正直、シンドイ…」(←得意なセリフ、頻出)

 長時間、パソコンの画面とにらめっこ。必然的に目も乾く。人に会うことも少ないので、次第に気分も滅入って来る。
 だけど、これはモノカキとしての宿命。そのように割り切って、早く片付けたい。そして、再び“野球浴”の日々を。

 今日も差し当たり、自宅にて奮闘。世間はGWやけれどもね(苦笑)。
※記録、順位は5月5日現在

(自責点×9回)÷投球回数
 これが防御率の算出方法である。要するに、投手が1試合完投した場合、何点で抑えられるかというもの。でも、あくまでも自責点なので、実際の失点はもっと多くなる場合が大半だ。

 今シーズン、プロ野球12球団の防御率が軒並み悪い。尚、既にどのチームも30試合前後消化しているので、短い期間で劇的に良くなったり、悪くなったりすることはないだろう。

《セ・リーグ防御率》
1.タイガース   3.75 チーム順位?位
2.スワローズ   3.98      ?位
3.ベイスターズ  4.43      ?位
4.カープ     4.56      ?位
5.ジャイアンツ  4.57      ?位
6.ドラゴンズ   4.81      ?位

 ビッグイニングが目立つセ・リーグは案の定、4点台中盤が目立つ。ただ、チーム防御率順位とチーム順位がリンクしていないのは、ベイスターズを除く5球団が4.5ゲーム差以内にひしめき合っているからに違いない。
 投手力が自慢と言われているジャイアンツ、ドラゴンズが下位に位置しているのは意外。
 ジャイアンツはエース格の上原浩治投手に、昨シーズン最優秀防御率の桑田真澄投手が波に乗り切れていないのが大きいと思われる。
 ドラゴンズは川上憲伸投手の“孤軍奮闘”状態。朝倉健太投手、小山伸一郎投手の天文学的!?防御率が手痛い。

《パ・リーグ防御率》
1.ホークス    3.20 チーム順位?位
2.ライオンズ   4.05      ?位
3.マリーンズ   4.18      ?位
4.ブルーウェーブ 4.30      ?位
5.ファイターズ  4.69      ?位
6.バファローズ  4.81      ?位

 パ・リーグもセ・リーグ同様、惨々たる状態。先発陣が踏ん張っているホークス以外はどこも4点台だ。
 特に、規定投球回数に達している投手21人で被本塁打数90本は驚くばかり。(セ・リーグは17人で61本)しかし、これで本塁打=大量失点という図式が浮き彫りになる。

 なぜ、防御率が悪いのだろう?
 そもそも春先は投手の方がコンディション良好というのが定説。疲労が蓄積される梅雨の時期以降から防御率が落ちると、言われているのに…。
 そこで、僕なりに思い当たるポイントを2つ挙げてみたい。

(昨シーズンから施行された新ストライクゾーン)
 一見、投手有利なように思えるけれども、力のない高目の球は痛打を食らう可能性も高い。
 昨シーズンは手探りであったストライクゾーンも今シーズンはある程度の把握は出来ている。で、捕手は高目を要求する頻度が増え、投手も自信を持って投げ込む。でも…なのである。

(試合使用球の変更)
 これはちゃんと調べた訳ではないのだが、野球界ではM社のボールがよく飛ぶのは常識。規格には合っているものの、その反発係数は規格内ギリギリらしい。
 今シーズンより、試合使用球をM社のものに代えたチームがある。本塁打が激増しているので、すぐ分かるはずだ。

 まぁ、これは僕の推測での話し。他にも防御率悪化の要因があるのかも知れない。

 なんてことを考えながら、今日はスポーツ新聞を読んでいた。


>“野球様”の皆様
 新垣渚投手(ホークス)、Yahoo!BBで登板しましたねぇ。
 しかも、“キッズデー”(子供の日)で内外野自由席は中学生以下無料。(同伴者も半額)
 今シーズン初の大入り(35,000人)だったとか。
 観に行けば良かったっす…。

新天地(改訂版)

2003年5月7日
 今シーズン、ライオンズからスワローズへトレード移籍した鈴木健内野手。
 当初、新外国人のトッド・ベッツ内野手の控え、代打の切り札的要素が強い鈴木であったが、三塁手の岩村明憲内野手が開幕戦で戦線離脱。度会博文内野手や城石憲之内野手らのスーパーサブ的存在の選手が多い中、キャンプ時からの好調で出場機会を得て、好成績を残している。昨日の試合(ジャイアンツ戦、神宮)でも、プロ入り通算150号本塁打を含む4打数4安打4打点2得点の大活躍であった。

 余談ながら、僕は
「ライオンズは大成(?木、内野手)や鈴木健を飼い殺しにするつもりなんかな」
 と、親しい専門紙の編集者に漏らしていた。そして、
「大成はベイスターズ、鈴木健はスワローズにでも志願トレードしたらええのに」
 勝手なことをのたまっていた次第。

 まぁ、?木はライオンズにとどまったまま。開幕こそ二軍であったけれども、一軍に復帰してからはチームに貢献している。また、僕の予想通りに!?鈴木も決して志願のトレードではなかった。

「見返してやる。出さなきゃ良かったと思わせるくらい頑張りたい」
 このような発言をよく耳にする。大事な心構えであるとは思うのだけれども、公言することは個人的にあまり好きではない。
 確かに、日本のトレードには暗いイメージが付きまとう。以前程ではないにしろ。トレードの当事者が心のどこかに“出された”とか“不要”みたい嫌悪感に近い気持ちを抱くからであろう。でも、モノは考えようだ。これまでの日本プロ野球の歴史においても、トレードが契機となって飛躍した選手、復活した選手は非常に多い。

 新天地は気分が良い。プロ野球選手のトレードと比べたら申し訳ないが、僕自身、サラリーマン時代に異動も経験しているし、引っ越しも数多くしている。そして、その度に新しい環境や人間関係に刺激を受けると言うか、
「頑張らにゃアカンな。力を見せたるわ」
 という新鮮な気持ちになり、身も心も活動的になる。それなりの結果も出るものだ。
 僕がプロ野球選手ならば、喜んでトレードを受諾するやろうなぁ。色々なユニフォームに袖を通すのも楽しみやし(笑)。←くだらん理由だ…。


 ペナントレース開幕後、4月末にタイガース⇔マリーンズで橋本武広投手(タイガース→マリーンズ)吉田篤史投手(マリーンズ→タイガース)のトレードが成立。プロ野球のトレード期限は6月末日まで。
 新天地に乞われる選手はどれくらいおるんやろう?って、書いている途端に高波文一外野手がタイガースからライオンズに金銭トレード決定。


 本日5月7日発売
『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)
 ヒューマンドキュメント夢追人
《この一球に想いを込めて》岡本晃投手/バファローズ
 を寄稿致しました。
 機会がございましたら、御高覧下さい。

生え抜き選手

2003年5月8日
 2年前、まだ東京に住んでいた時にイースタンリーグをよく観に行っていた。
 西武第2球場、ヤクルト戸田球場、ロッテ浦和球場、横須賀スタジアム、ファイターズ鎌ヶ谷タウン、読売ジャイアンツ球場。どこの球場にも思い出がある。ただ、鎌ヶ谷はひたすら遠かったなぁ…梨の香りに包まれていたのは良かったけれども。

 ヤクルト戸田球場、ロッテ浦和球場はアクセスが良かったのと、駐車場の心配をしなくて良かったので、頻繁に足を運んだものである。若手の奮闘を観ることが出来るのは勿論、一軍のローテーション投手がプルペンで調整をしていたり、懸命に故障者がリハビリに励んでいた。
 特に、ロッテ浦和球場の室内練習場にて、石井浩郎内野手(当時マリーンズ、現野球評論家)が鬼気迫る形相で打撃練習に取り組んでいた姿は忘れることが出来ない。


 現在、故障者続出で“野戦病院”と化したジャイアンツ。スターティングラインアップにはこれまで聞き慣れなかった名前が並ぶ。
 97年秋ドラフト3位・山田真介外野手もそのうちの1人かも知れない。

 上宮高時代、山田は投手をしていた。甲子園出場経験もあるが、プロ入り後は非凡な打撃センスと俊足を買われて、野手に転向。僕が山田を最初に観たのは、ようやく野手としてサマになって来た頃である。

 ロッテ浦和球場であったと思う。試合前に、某球団の編成から
「ジャイアンツの福井(敬治、内野手)ってのは良いぞぉ。パンチ力がある大型遊撃手。そのうち一軍にも出て来るはず。出て来ないようだったら、ウチが欲しいくらいだよ」
 という耳寄りな情報を得ていたので、福井に注目していた。
 事実、福井はこの試合でも試合を決める本塁打を放つ。ロッテ浦和球場の左翼後方を通っている東北新幹線の線路まで届きそうな特大弾。(実際は不可能だろうけれども…)それから数週間後、福井は某球団編成の言葉通りに一軍へ昇格する。そして、プロ入り7年目の苦労人というような触れ込みで活躍したことは野球ファンならば覚えているはず。僕も無意味に嬉しかったものだ。
 でも、正直な話し、福井よりも心を奪われたのが山田であった。安打は1本、打ったかどうか。四球で2回程、出塁したのでは。ただ、打席での雰囲気があり、スリムで公称178?の体格以上に大きく映った。さらに出塁した時や中堅の守備でのスピードが魅力的だった。
「山田も良いよ、絶対に。楽しみやなぁ」
 僕は山田にツバを付けた。ある媒体で紹介してしまったくらい。


 プロ野球選手に限らず、野球選手が出場機会を得るのは主力選手の故障を埋める場合が大半である。その与えられたチャンスを自身の力で掴み取ることで、万年二軍選手、一軍半選手などという立場から脱却するのだ。そういう意味では山田もこれに該当すべく、日々、必死にプレーしているのであろう。

 ジャイアンツは“自前で若手を育てるのが下手”、“生え抜き選手が出て来ない”などと、よく言われている。近年のFA制度導入後、大型補強を繰り返したことが、さらに拍車を掛ける。
 だけど、斉藤宜之内外野手、鈴木尚広外野手、宮崎一彰外野手らの台頭はそれを打ち消すのに充分。開幕直後、96年秋ドラフト1位・原俊介捕手の“涙の初ヒット”、“プロ入り初本塁打”も記憶に新しい。

 ただ、ジャイアンツの主力選手が復帰して来た際。実績と名前だけで簡単にスターティングメンバーに戻れるようだったら…。完全に力量が上回っているのならば構わないんやけれどもね。

 今後、ジャイアンツ生え抜き選手の処遇は要チェック。


 一昨日の“Nステ”ことニュースステーション(テレビ朝日系列)の冒頭。
「ナイター中継(ジャイアンツ−スワローズ)延長の為に番組を30分繰り下げて、お送り致します。だけど、あんな試合を延長してまでも中継する決断をした人間の気が知れません」
 と、久米宏の辛辣かつ皮肉タップリの挨拶で始まった。

 僕的には“あんな試合”って、発言は引っ掛かる部分があったけれども…まぁ、久米も2−13という点差だけで試合内容の優劣を判断した訳ではないだろう。そう信じたうえでは頷ける。

 僕が敬愛するスポーツライター・石田雄太の『こんなプロ野球が見たい』(学陽書房)でも述べていたのだが、日本のプロ野球中継はおかしなところが多い。そりゃ、他番組やスポンサーの兼ね合いもあるので、完璧なモノを作り上げるのは理想で終わってしまうんやろうけれども。

 通常、野球中継が始まるのは19:00前後。大体、試合は3回。早い展開ならば5回に突入している。まず、平気な顔をして、スポーツ中継を途中から視聴者に見せること自体がおかしい。
 そして、次に試合が中継予定時間より長引いた場合。ほぼ中継は延長。但し、悲しいかな完全延長ではない。8回の攻防の途中とかで中継が終わるのは当たり前となっている。
 最初と最後を見せない。まさに“愚の骨頂”…。Hビデオで“抜き所”だけを楽しむのとは訳が違う。(Hビデオ通に言わせれば、それも“愚の骨頂”かも知れないが…)
 久米はそういうことが言いたかったんかなぁ???
 この日記にも何度か登場している同志社大・渡辺亮投手。決して強力とは言い難い打線をバックにコツコツと、エースの名に恥じない役割を果たして来た。
 渡辺は最速149?のストレートとチェンジアップを軸に、奪三振の山を築くのが魅力の右腕。今秋ドラフト会議で注目されるであろう投手である。が、今春は調子が悪いようだ。

 今春の成績は
 登板5試合 1勝3敗 防御率1.65(僕の計算なので間違っていたらスミマセン)
 防御率こそ悪くはないが、これまで3年間の成績
 登板33試合 17勝9敗 防御率1.80
 を思えば、信じられない数字。

 雨で1日流れた為に関西学生リーグの開幕戦は関西学院大×同志社大となった。
 その試合、渡辺は結果的には良いスタートを切った。被安打は僅か3本。奪った三振は12個で完封勝利を挙げる。でも、何か“渡辺らしさ”がなかった。ブルーウェーブのスカウト・谷村智啓とも
「ちょっとフォームがおかしいっすよね」
 と、話していたものだ。
 谷村が言うには、テークバックが不自然で(球の出所を分かり難くさせる意図はあるのだろうが)、それを意識するあまりに体左側の壁が不充分ということであった。それに連動するのかも知れないが、僕は頭が突っ込んでいるように感じたのである。

 試合後に渡辺と少し話す機会があったのだが、渡辺自身も
「バランスが(投球フォーム)悪かったですね」
 反省することしきり。試合中は微調整、試行錯誤しながらの投球であったらしい。

 その後、好投しても勝てない不運があったり、投球内容も本来の安定感を欠くことになる。
 レギュラー捕手・桑原の欠場(3節、関西大戦)もあるだろうが、渡辺クラスの投手がそれを言ってはイケナイ。
 チーム事情や最上級生エースとしての自覚と重圧からか表情も心なしか堅い。また、プロの評価を意識することもあるだろうが、そんなことを気にする必要もない。
 色々と、考えてプレーするのも大事。だけど、基本は野球を楽しむことだ。

 高校時代、突如、遊撃手から投手転向を命じられた渡辺。その時の気持ちを思い出して、ある意味、自分勝手にマウンドに立っても良いのでは。もう、存分に迷い悩んだはず。リーグ優勝(同志社大)の可能性がなくなってしまった現在、その行為は許されるような気がする。無責任な第三者のアドバイスになってしまうけれども…。

 一昨日の関大戦で登板したばかりなので、今日の京都大戦(甲子園球場)よりも、明日の2戦目で放る可能性の方が高いかな!?あと、最終節には古都決戦“同立戦”(同志社大×立命館大、西京極球場)もあることだし。
 まぁ、とにかく楽しめっ!ナベ!!
 僕はナベの投球が好きだ。


 ドラフト制度検討委員会というものが5月7日、東京都内で開かれたそうである。
 その中で、外国籍選手の扱いを協議。
・5年以上の滞在(外国人扱いにならない)を3年に短縮
・外国人扱いの入団でも2年経過で日本人扱いにする
 などの案が出たので、19日の話し合いで詰めるとのこと。

 それにしても、そもそも外国籍にこだわる必要なんてあるんやろうか?
 元々は“助っ人”と呼ばれる外国人選手の制約だったに違いないのだろうけれども…。
 グローバルな今日、非常にナンセンスな“縛り”やと思う。
 ちょっと調べてみようかな。

モノが違うわっ!

2003年5月10日
 昨日は久々の野球観戦。阪神甲子園球場にて関西学生リーグ、同志社大×京都大に、伝統の“関関戦”(関西大×関西学院大)。
 僕自身、関西学院大卒ということもあるのだろうが、やっぱり“関関戦”への思い入れは強く、学生時代を思い出す。今でも、ついつい母校の校歌や応援歌だけにとどまらず、関西大のそれまでも口ずさんでしまう始末。ただ、平日開催なのは残念。観客集まらへんもんなぁ(悲)。
 ちなみに僕が現役であった時の“関関戦”は西宮スタジアム開催が基本であった。活躍した記憶は全くないが…西宮スタジアムの器。殊に、ファールグラウンドの適度な狭さが観客席を身近に感じさせてくれ、嫌が応でも気分は盛り上がる。
「嗚呼、大学野球をやっているんやなぁ」
 と、当時も感動したもの。そう思うと、西宮スタジアムがなくなってしまった(まだ西宮スタジアムは現存、再開発予定が決まっていない為)のは、寂しい限り。それだけに、昨年、『Sportiva』(集英社)に《さらば、西宮スタジアム》を寄稿する機会に恵まれた僕は、ある意味で幸せなのかも知れない。

 さて、話しが逸れている…。
 昨日の“関関戦”は関西大が先制。関西学院大が追い付けば、関西大が突き放す。しかし、関西学院大がまた追い付きという接戦。そして、延長10回の末、関西大5×3関西学院大という結果に終わった。伝統の一戦に恥じない両校のライバル意識を垣間見ることが出来、大満足であった。
 その中で、際立っていたのが関西学院大のルーキー・清水誉捕手。野球無名校(兵庫県/小野高)出身ながら、素材の高さが評価されていた逸材。
 これまで、清水はベンチ入りこそ果たしていたが、ベストナイン獲得経験もある矢川武邦捕手がいたのでベンチを温めていた。だが、この矢川が練習中に右手の指を骨折したことで、出番が回って来たのである。

「う〜ん、素晴らしいっ!」
 矢川を低評価する訳ではない。でも、それ以上に、このルーキー捕手は光っていた。
 膝や足首が柔らかいのだろう。構えが低く、柔らかい。投手からは投げ易い捕手に違いない。
 強肩ということは聞いていたが、決して力任せなスローイングではなく、捕球からの動作にしなやかさがあり、キレイな球筋。
 打撃は木製バットとスピードには慣れていないようだけれども、キッチリ2本(2本とも左前安打)の安打を放つ。
 肝心なリード面では、3度の失点の機会が全て2死からということで課題も残ったが…。先発・新谷泰隆投手のストレートが浮き始めた6回前後から変化球の割合を増やすなど、機転が利いていた。
 一緒に観戦していた野球に精通している木村誠と顔を見合わせ
「モノが違うわっ!」
 2人で大喜び。突如と、現れたキラ星にニンマリしてしまった次第。
 また、イニングの合間のトイレで。マリーンズのスカウト・松本尚樹も
「来て良かった。これからが楽しみ。古田(敦也捕手、スワローズ)以上になる可能性も秘めている」
 と、白い歯を見せて笑っていた。

 試合が終わってから、清水の話しを聞けた。
「緊張はしていなかったですけれども、必死でしたね。最初は投手との呼吸が合わなくて…。ヒットはたまたまです。9割以上は守りのことで頭がいっぱいでしたから。負けたのはとても悔しいので、明日は必ず勝ちたいです」
 その後、クールダウンのランニングを新谷としながら、反省会らしきものをしていたのが印象的。

“タラ”、“レバ”は禁物であるが。
 このまま成長、上積みがあったら―。
 故障に泣かされず、大学野球生活を送れば―。
 とてつもない捕手になるかも知れない。そのような清水のデビュー戦に立ち会えたことに感謝。相応しくない例えであるけれども、街中で絶世の美女を見掛けたようなドキドキ感を覚えた。このような経験は滅多にないっすよ!

 4年間、清水には楽しませて貰えそうだ。


 立命館大のスコア・ビデオ係は豪華やったなぁ。
 多田文彦投手と金刃憲人投手の2人やもん。

懐かしき

2003年5月11日
 昨日も阪神甲子園球場(京都大×同志社大、関西学院大×関西大)へ。
 1試合目終了後、苦しみながらも今シーズン2勝目を挙げた渡辺亮投手(同志社大)と話しをする。
「頭で描いているイメージ通りに体が動かない」
 苦悩しているようであったが、
「でも、立命館大戦までは2週間も空きますんで、追い込みますよ」
 と、最終節での意地に期待。
 尚、最初の1週間は走り込みとウェートトレーニングで徹底的に肉体をいじめ、残りの1週間で調整して行く予定のようだ。これを聞いて、お節介であったかも知れないが
「ロングティーもしてみたら」
 僕はアドバイスを。
 投手というのは自身のテンポで球を投げることが出来る。それに反して、打者は投手の投げた球に対応しなければならない。現在の渡辺は投げ急ぎ、テークバック時の間が取れていない状態。だから、緩くトスされた球に対応。センター方向に切れない打球を打つタイミング、体の使い方をすることで投球フォーム修正のヒントになると思ったからだ。また、投球練習をしているという意識から離れるのも気分転換になるだろう。そのことも補足すると、渡辺は何度か軽く首を上下させながら
「そうっすね。ありがとうございます。考えておきますよ」
 と、アイシングをしていた肩と肘を抑えて、ロッカールームに消えた。

 2試合目は小刻みに加点した関西大打線に、先発・増田陽紀投手(関西大)が低目に球を集める好投。最終回は昨夏の甲子園優勝投手・田辺佑介投手が3人でピシャリ。試合の流れを関西学院大に一度も譲ることなく、0×4で快勝して、優勝争いに望みを繋げた。


 土曜ということもあり、甲子園は前日よりも観客が多かった。(それでも少ないけれどもね…)
 観客の中心は卒業したばかりのOBに、OBと思われる年配の人間。それに、父兄や選手のガールフレンドらしき女性がチラホラ。400人も入っていないはず。甲子園の器が泣きます。応援団、チアリーダー部、吹奏楽部が来ていなかったら、バックネット裏の席だけでこと足りてしまうんやもん。まぁ、関西大は関大一高の生徒を招致していたようだが、全学を挙げてという雰囲気は全くない。
 昨日の日記に“伝統の関関戦”と書いたが“同立戦”の方が努力を感じる。“伝統”の冠が“同立戦”に取って代わる日も近い。いや、もう代わっているのかもね。
 関西学院大、関西大はこの事実を素直に受け止めて、“関関戦”の在り方を真剣に考えるべきである。
 あと、くだらないことであるけれども、関西学院大、関西大のユニフォームの識別がし難い。
「どっちが関大で?どっちが関学やねん?」
 という声をスタンドでよく耳にする。
「歴史と伝統のあるユニフォームなのだから仕方がない」
 OBや現場がそのような言葉で片付けてしまうのならば、頭が堅い以外の他にない。関西学院大はせっかくビジター用のユニフォーム(上が紺色)があるのにね。


 文句ばかりではない。
 関西学院大野球部時代の1学年先輩・川島英嗣に、これまた1学年先輩の放送委員をしていた野島有美香(関西大卒業生)、河野綾子(関西学院大)との懐かしき面々との再会もあった。特に、河野とは8年振りくらいに会う。同回生の貴戸祐一も仕事の合間に立ち寄っていたようであったが、会えなかったのは残念。まぁ、貴戸はまた近々どこかで会いそうな気がするからええか。
 試合終了後は、川島、野島、河野と“にしむら珈琲”にてティータイム。正直、たいして実りのある話しをしている訳ではないけれども、こういうのはなかなか良いものだ。僕的には色々な人間との出会い、再会は『野球ノ歩キ方』に欠かせない事項。僅か30年近くではあるが、生きて来たことを実感出来るからだ。
 それぞれ仕事や家庭の事情もあるとは思うが、フラッと、球場に足を運ぶことで青春時代!?を思い出せる。確かに、試合に出ている選手は知らない名前ばかり。でも、それは単なるエクスキューズ。って、僕もこの仕事をしていなかったら…(苦笑)。あまり偉そうなことは言えんけれどもね。

 秋のリーグ戦では、もっと多くのかつての仲間に会いたいものだ。

求めず、求められず

2003年5月12日
 昨日は神戸のAリーグに所属する草野球チーム・ヴァンテアンの助っ人を頼まれていたのだが、あいにくの天候の為に中止。久々にシッカリと、二度寝を決め込む。あ〜っ、気持ち良い。

 さすがに雨なので洗濯はしなかったが、気合いを入れて、部屋の掃除。ボーッと、テレビを観てはうたた寝も…^_^;
 夜もボーッと、何も考えずにナイター中継(ドラゴンズ×ジャイアンツ)を観る。
 部屋の掃除以外は何も求めず、求められずに終わった1日。たまにはこんな日もありかな。

 今日は仕事をしなくては。まずは『週刊漫画アクション』(双葉社)の原稿から片付けますか。


 知らない間に広池浩司投手(カープ)が一軍に昇格しているうえに、先発までしているやん。最近、スポーツ新聞の読み込みが浅いわ…。

 あっ、そうそう。この日記を書き始めてから、早いもので丸々6ヶ月が経った。
 HIT数も地道に伸びているのは嬉しい限り。
 時折、今日のような手抜きもあるが…(^^ゞ
 今後も御愛顧の程を。

>カッキン
 土曜は一緒にメシ行きたかったなぁ〜。
 また、日を改めて。
 仕事(英語)も頑張りましょうっ!

謎の挨拶

2003年5月13日
 昨日は家で仕事。
 昼下がり、修正液とコピー用紙を購入する為に近所の文具店へ。その帰り道のこと―。
 前方から、黄色(ド派手な)のポロシャツを来た小柄な老齢の男性が歩いて来る。
「あっ、ムッシュや」
 そう、“ムッシュ”こと吉田義男(元タイガース監督、現野球評論家)であることに気付いたのだが、仕事を一緒にしたこともなければ、知り合いでもない。あくまでもこちらが一方的に、テレビの画面やグラウンドで何度か見掛けているだけ。が、すれ違う際
「ドーモ」
 と、ムッシュ。僕は不意を突かれながらも
「ドーモ、お疲れ様です」
 なんとなく頭を下げる。なんとも謎の挨拶であった。


 今日は関西学生リーグを観戦予定。
 立命館大が近畿大を破れば、4季振り28度目のリーグ優勝が決まる。


 何度か書いて来たことだが、書き溜めたモノ+書き下ろし数本を一冊にまとめる話しが一歩前進!?
 実現の折には、何卒宜しくお願い申し上げます。
 関西学生、関西六大学の連盟も協力してくれへんかなぁ!???

速いねぇ〜♪

2003年5月14日
 立命館大が近畿大に勝てば、4季振り28度目のリーグ優勝(関西学生リーグ)が決まるということもあり西京極球場へ。球場に着くと、見慣れた顔以外の記者が多いことに驚く。

 試合前に
「是が非でも、今日、決めたいものですよ」
 立命館大・松岡憲次監督が願うように語れば、前日に完投勝利で優勝をグッと、引き寄せたエース・松村豊司投手(立命館大)も
「先に引っ張っても仕方がないですから。展開によっては出番もあると思うので、シッカリ準備しておきます」
 と、端正な顔立ち(ホンマ、甘いマスクの男前)をさらに引き締める。しかしながら、
「目の前で胴上げはさせない、見たくない」
 という近畿大の“王者の意地”。殊に、プロ注目の糸井嘉男投手(近畿大)の投球は圧巻。恐らく、僕が観た中では一番、腕が振れていたし、球の走りも良い。
 球速はコンスタントに140?台後半を計時。自己最速の151?には及ばないながらも150?もマークする。やっぱり、150?にもなると速いねぇ〜♪観ていて純粋に楽しい。
 自らの四球でリズムを悪くして、崩れるという悪パターンも克服しつつあるよう。丁寧で粘り強い姿が成長の証し。
 奪三振は9個にとどまったが、伸びのある球を軸に外野フライも多かった。被安打は僅か3本、141球を投じての見事な完封勝利(今シーズン3勝目)を挙げ、立命館大の胴上げを阻止。また、近畿大の優勝への望みを“首の皮一枚”繋ぐ快投でもあった。

「いやぁ、今日は糸井に尽きます。糸井サマサマですよ」
 試合後のベンチ裏で、近畿大・榎本保監督の口も滑らか。よくよく考えてみれば、糸井は榎本監督の“秘蔵っ子”。
「素材は段違いです。大事に育てています。そのうち出て来ますんで、機会があれば取り挙げて下さいよ」
 取材の度に糸井をプッシュしていたもの。榎本監督の笑顔も納得だ。

 口数も多くないし、記者の質問にも慣れていないのか???正直、糸井の応答は素っ気ない。でも、眼光は1年前とは明らかに違う。自信に満ちたものになっている。その辺を踏まえて、近いうちに糸井の話しを聞いてみたい。取材される方も、取材する方も“囲み”はどうしても構えてしまうので、心のドアをノックするのは難しい。


 金刃憲人投手(立命館大)の両親と尼崎で食事。刺身がとても美味しい店で、ついつい酒も進んでしまう。
 色々な話しをしたが、親心のありがたさというものが“黒糖焼酎以上に”身に染みた。
 今後も何卒宜しくお願い申し上げます。そして、ごちそうさまでした。ありがとうございます。

 昨日に引き続き、立命館大×近畿大(西京極球場)を観戦。
 でも、僕が西京極球場に着いた時は1回表一死満塁で、立命館大が攻撃中。要するに、遅刻っす…だって、僕の住んでいる西宮は、朝からジャンジャカ雨が降っていたんやもん。

「今日、中止やんね?」
 敏腕と名高い、関西学生野球連盟学生委員副委員長・古谷純一(近畿大)に電話をするが、
「京都はパラパラなんですよ。今のところ、やる予定です」
 とのこと。
 11:30、2度目の電話でも古谷の応えは同様なものであったので、慌てて家を出たけれども…電車の乗り継ぎが悪いんやなぁ。だけど、
「中止やろう」
 と、思っていたのは僕だけでなかったよう。デイリースポーツのアマチュア担当・大加戸康一も同じ電車に乗っていた。

 雨が降りしきる中(7回くらいからは小降りになったが)の試合は見応えのあるもの。
 前日に続き、2日連続の先発登板となった糸井嘉男投手(近畿大)は、前述したように立ち上がりこそ一死満塁のピンチを招いたが、立命館大の強攻策は併殺(二直、ベースタッチ)に。一死満塁って、意外にベンチは動けない。なかなか得点に結び付かない印象が強い。
 その後、糸井は尻上がりに調子を上げる。実質、初めての連投で
「背中に張りがあった」
 ということで、スピードは抑え気味であったけれども、無駄な力が入らずに投球フォームのバランスが良く、連日の好投。
 9回表、安打、四球、失策でまたもや一死満塁の局面を迎えたが、浅い左飛、二直と、力で見事にねじ伏せた。

 かたや松村豊司投手(立命館大)も気持ちを前面に押し出した投球内容。糸井のような圧倒的な凄味はないが
「勝てるようになった(今シーズン4勝0敗)ってことは、着実に力を付けているんや。配球は首をかしげたくなるけど、時折、ええ球放りよるで」
 ブルーウェーブ編成・谷村智啓がいつものホンワカ口調で、松村を評していた。
 田中雅彦捕手のバックスクリーン弾(ソロ本塁打)と糸井、井上裕貴内野手の長打で6回2失点も、悪天候も考慮すれば、先発投手として最低限の役割は果たしたように思える。

 リリーフした中井敦英投手(立命館大)はカーブ、スライダーの使い方が巧い。テンポも良いし、たまに投げるナックルが面白い。
 宮川剛明投手(立命館大)はサイドハンド投手の罠にハマっている様子。横の回転を意識するばかりに腕が前に出て来ない。球が引っ掛かって、昨日同様、死球で傷口を広げてしまった。

 話しが飛び飛びになっているけれども、今日の試合は“一死満塁”がポイント。(なんか江川卓みたいやなぁ…深くない)
 9回裏、近畿大の攻撃。死球、犠打、右前安打で一死1、3塁。打席は投手の糸井であるが、立命館大は満塁策を選択。まぁ、糸井は打撃も力強いしね。間違いではない。
 だが、途中出場の竹本浩章外野手が地を這うような打球を中前に放ち、サヨナラ勝ち。
 二度の“一死満塁”を活かせなかった立命館大。
 たった一度の“一死満塁”がサヨナラとなった近畿大。
 この試合を決めただけでなく、優勝争いも読めない展開になった。

 ちなみに
 近畿大は次節の関西学院大戦で勝点を挙げるのが絶対条件で、
 2勝0敗→9勝3敗 勝率0.750 勝点4(プレーオフの可能性)
 2勝1敗→9勝4敗 勝率0.692 勝点4(厳しい)

 立命館大も最終節の同志社大戦にて勝点を挙げなければならなく、
 2勝0敗→9勝2敗 勝率0.818 勝点4(優勝決定)
 2勝1敗→9勝3敗 勝率0.750 勝点4(プレーオフの可能性)

 尚、関西大にもチャンスはあり、次節の京都大戦で
 2勝0敗→8勝4敗 勝率0.667 勝点4
 となる。
 関西学院大、同志社大が勝点を奪えば、優勝が転がり込むということになる。


 試合後、“囲み”ではなく、糸井と話す機会に恵まれた。
 近畿大のロッカールーム内で、時間にすれば5分ちょっとであったけれども、
「アイシングは後でも大丈夫なんで」
 2日間で294球を投げ、連続完投勝利。疲れもあったはずなのに、糸井は気軽に応じてくれた。
 まぁ、話した内容については来週発売の『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)で使うので、詳細は伏せさせて貰うが…糸井が大きく目を見開き、これまで見たことのない笑顔を浮かべたのは嬉しかった。心のドアは開けてくれたんかな???今後は無礼のない範囲で、糸井の心の部屋で話しが出来そうな気がする。って、それはあくまでも僕の一方的な願望なのかも知れないけれどもね。


 帰りは古谷の運転する車に乗せて貰う。
 で、西宮の“力丸らあめん”で一緒に食事。
 久々に重たいモノを食べ、胃が重い…(>_<)ラーメンは美味しかったんやけれどもね。
 古谷の頼んだカラアゲに手を出していたら、もっと悲惨な目に遭っていたかも!???

“かまぼこの板”

2003年5月16日
 99年に17勝を挙げた川村丈夫投手(ベイスターズ)は、5月6日のカープ戦(横浜スタジアム)で先発して、593日振りとなる勝利投手になった。
 5月14日のジャイアンツ戦(東京ドーム)でも、先発・川村は8回を2失点。9回表二死、スコア2×2の同点から、代打・古木克明内野手(ベイスターズ)の勝ち越し本塁打が飛び出したこともあり、勝利の女神が微笑んだ。
 不振に加えて、右肩肩甲骨付近のガングリオン(脂肪塊、昨秋に除去手術)などもあり、近年、本来の力が発揮出来なかった川村。年俸もピーク時のおよそ半分になってしまった。しかし、実力と実績を兼ね備えた投手。それだけに、この復活はベイスターズにとっても、川村自身にとっても喜ばしい事実であろう。

 川村は立教大を卒業して、社会人野球の名門・日本石油(現新日本石油)に進んだ。アトランタ五輪の代表選手として好投して、銀メダル獲得に貢献。ちょうど、その頃に聞いた話しである。

 僕の中学、高校野球部の1学年上の先輩・Oも立教大の野球部に在籍していた。そして、川村と同級生のチームメートとなった。
「神奈川の学校からよぉ、スゲエ投手が入って来るって聞いてたんだけどよぉ。コイツがまた変な投げ方だったんだよ。本当にスゲエのかよって、不安になったよ」
 Oは神奈川県の進学校・厚木高からやって来た川村の初印象をそう語った。確かに、川村の投球フォームは少しばかり異質だ。特に、腕の振りは極端に肘が先行しているので、一見は投手らしくないようにも映る。
 ただ、これには背景があって、川村は柔道の背負い投げを意識するような投球フォームをイメージすることを中学時代か高校時代に指導されたらしい。相手の懐に入り込み、畳の上に叩き付ける。その動きと投球フォームがダブるように。その結果、肘が先行することで俗に“腕が遅れて出て来る”や“球持ちが良い”ということになり、重心も前に乗る。だから、川村の投じる球はスピードガンが計測するスピード以上に速く感じる。対戦する打者は一様に口を揃えるのだ。

 Oは続ける。
「大学1年か2年の頃だったかなぁ。自主練習の時に、タケオ(川村)がネットに向かって、何か投げてたんだよ。何だったと思う?笑うぜ。“かまぼこの板”だぜ。しかもさぁ“かまぼこの板”が真っ直ぐシューって」
 Oが私に身振り手振りで説明してくれたのは、“かまぼこの板”の面と地面が平行を維持したまま、ネットに突き刺さる様である。さすがに“かまぼこの板”はその場になかったので“タバコの箱”を代用品として、何度か壁に投げてみる。肘でリードして、リリース時にスナップを効かさないと“タバコの箱”はグルグルと、回転してしまう。

 投手の腕の使い方はしばしば“ムチがしなるよう”などと表現されるが、基本的には肩・肘・手首の三点で三角形を作り、肩を中心に回転運動を始め、リリースポイントでは肘が支点となって、球を打者に対して投じる。この肘が支点となってからの腕の動作が“ムチがしなるよう”と、表現されるのであろう。当然、連動して腰の捻りや回転。足の蹴りなども球のスピードとキレを産み出す要素となるのだろうが、ここではあくまでも腕の使い方である。オーバーハンドであろうがアンダーハンドであろうが、右利きであろうとも左利きであろうとも、僕が観察する限りではこの“三角形の基本動作”は守られているものと思われる。
 話しは逸れてしまうが、この“三角形の基本動作”は野球の投手だけに限られたものではない。
 テニスのプレーヤーがサーブを打つ時も、バレーボールのアタッカーがスパイクを打つ時も。アメリカンフットボールのクォーターバックがパスを投げる際も同様の肩・肘・手首の三角形は形成されている。恐らく、この動きが関節に与える負担が最も少なく、(それでも、故障は生じてしまうのだが…)威力があり、精度の高いパフォーマンスを生み出すのであろう。人間の体の構造って、面白いものだ。

 話しを川村に戻そう。非常に難しいのであるが川村の生命線とも呼べる腕の使い方を。ストレートを投げるという前提で文字にして、分析してみよう。
 グラブをはめた左手(右投手)は投げたいと思う方向。すなわち、対戦打者に向かって振りかざされる。そして、その時に球を投げる右腕は既にテークバックと呼ばれる状態に入り、当然ながら、肩・肘・手首の三角形は川村の右後頭部付近で作られている。
 次に下半身で蓄えた捻りを力として回転させながら上半身に伝え、徐々に対戦打者に正対するように向かって行くのだが、まだ右側頭部付近で右腕の三角形が保たれている。
 そして、さらに次の段階。普通の投手ならば右腕はもうリリースポイントに達し、打者に向かって渾身のストレートを投げ込むのであるが、川村の右腕はまだ三角形を保ちながら、その三角形の一角である肘だけが対戦打者に向かっているのである。
 このように普通の投手よりコンマ何秒か遅れて出て来た川村の右腕は肘を支点として、リリースのタイミングを迎える。分かり易くイメージして貰うならば、テコの原理を応用した、原始時代に使われていた投石器を思い浮かべて貰うのが良いかも知れない。ただ、投石器と異なるのは遠心力のみに頼るのではなく、川村はさらに掌の中で球を滑らせ転がすように送り、人差し指と中指まで達した瞬間にスナップを効かせて、球を切るように押し出す。この動作はボールに強烈なバックスピンを与え、対戦する打者に実際の球速以上のスピードを体感させる。しかも、リリースポイントが打者に近くなる為にコントロールの不安も解消されるという利点もある。

 少しばかり不可思議な光景ではあるけれども“かまぼこの板”を投げることで、きっと川村は腕の使い方をチェックしていたに違いない。
 
 今回、復活の道程で、川村はかつてのように“かまぼこの板”を投げていたんかな???
 プロ野球の投手が“かまぼこの板”を投げている姿を思い浮かべると、ちょっと微笑ましい(笑)。
 仕事上、残念なことに今年はほとんどノータッチの社会人野球。好き嫌いはないけれども、中学校時代から社会人野球ファンであった僕としては、ちょっと悲しい。

 取材で関わることが多い関西圏の大学野球選手。大学卒業後も野球を続けたい選手も多いのだが、レギュラー選手でも簡単に決まらないというのが現状である。長引く不況の為に社会人野球の受皿が少なくなって来ているのが要因。まぁ、これについては既に専門紙にも寄稿済みであるし、今後も論ずる機会があるので省かせて貰う。

 そのような中でも、数名の選手の進路が決まり始めた。まだ“誰がどこへ”と、書ける段階ではないが、ホンダ鈴鹿、JR東海、王子製紙などなど。東海地区のチーム名ばかりを聞く。確かに、今春の卒業者も東海地区のチームへ入った者が多い。
[近畿大]
 松岡俊介内野手  一光
[同志社大]
 平石洋介外野手  トヨタ自動車
[立命館大]
 児玉生弥投手   ヤマハ
 林真輝外野手   東海理化
[関西大]
 松田孝仁捕手   三菱自動車岡崎
[関西学院大]
 山之内克憲投手  トヨタ自動車
 造田雅之捕手   王子製紙
[京都大]
 川上拓郎内野手  東海理化
[京都産業大]
 光原逸裕投手   JR東海
[大阪経済大]
 松田大毅外野手  新日鐵名古屋
[奈良産業大]
 戸田寿外野手   ホンダ鈴鹿
[大阪体育大]
 妹尾軒作投手   一光
 村井大慈投手   西濃運輸
 井上智仁内野手  東邦ガス

※記入漏れの選手がいたらゴメンナサイ

 一昔前ならば、やっぱり関西圏の大学選手は関西圏のチームへという進路が主流。現存する日本生命、松下電器、大阪ガス、NTT関西(現NTT西日本)、新日鐵広畑や、休廃部になってしまった住友金属、神戸製鋼、三菱自動車京都などなど。しかし、前述の通り、今や進路の主流は東海地区。そして、社会人野球に精通している人間に言わせると、東海地区のチームは元気かつレベルアップしているようだ。

 よく“西高東低”とか“東高西低”というような表現をするが、東海地区の力がある時は何て言えば良いんかな?

 高校球児の他府県流出から始まり、大学野球、社会人野球の質が問われる関西野球界。今後の打開策を講じているかどうかは…僕の耳には入っていない。

記者席

2003年5月18日
 疲労困憊…(>_<)なので、今日はサクッと!???

 昨日は南港中央球場で関西大×京都大、近畿大×関西学院大を観戦。
 以前、この日記にも書いたように僕は基本的にスタンドで観戦する。理由は色々とある。が、昨日は考えることもあって記者席へ。恐らく、関西学生マネージャー陣の大半は分かるだろうけれども!???

 記者席も悪くはない。記録するということに関しては、やっぱり机がある方が良い。また、
「今、E(エラー)のランプが点いたけど、どっちのエラーやねん?」
 遊撃手がゴロを処理するも、悪送球かどうか微妙な送球。一塁手がそれを捕れない。というような場合でも、公式記録がすぐに分かる。まぁ、スコアブックにはメモも添えるけれども。
 あと、僕のように“ノートパソコンを持ち歩かない派”、“すぐに原稿を仕上げる必要がない派”人間には無縁であるけれども、電源の確保、通信の便利が良いのは何より。
 そして、馴れ合いになってはイケナイが、記者との交流は貴重な情報交換の場にもなる。


 今年、新聞社は異動が多かったようで、アマチュア担当の記者は新たな顔ぶれが目立つ。GW明けからは新入社員も増え始めたんかな?で、
「はじめまして。アマチュア野球を担当することになりました○○と申します。色々、教えて下さい」
 と、挨拶を受ける機会も多いのだが、こちらこそ何卒ヨロシクなのです。
 一瞬、仕事に繋がれば…なんて嫌らしい考えも頭をよぎるが、そのような“しがらみ抜き”でお付き合い出来れば幸い。

スピードガン

2003年5月19日
「今日はどれくらい出ているんですか?」
 バックネット裏でスピードガンを構えているタイガース編成・畑山俊二に、糸井嘉男投手(近畿大)の球速を尋ねる。
「45(145?)前後。MAXは47(147?)やね」
 と、畑山は人の良さそうな笑顔を浮かべ、教えてくれる。
「でもねぇ、向こうでは50(150?)出ているみたいやし、常にこっちより速いんだよ」
 畑山が目線で指し示したのは、距離にすれば僅か3〜4?右横の立命館大のデータ班。

 まず、スピードガンは計測する位置、高さ、角度などで若干の誤差が生じるものと認識して欲しい。プロ野球の本拠地球場でも球速表示が“出易い球場(速い)”と“出難い球場(遅い)”があるくらい。
 あと、阪神甲子園球場は左投手には不利という話しも聞いたりするし、メーカーによってもバラつきが出るようだ。

 タイガースと立命館大のスピードガンを構えていた位置は前述通り、横の位置が3〜4?しか変わらない。高さも角度も差異はない。しかも、スピードガンのメーカーも同じA社。なんでやろう???謎は深まる。

 大学野球の選手や記者の間では“Ritsガン”という言葉が頻繁に使われる。昨日も糸井に
「今日も50(150?)出ていたよ」
 そう教えてあげると
「嘘ですよ。指に掛かっていなかったし、絶対ありえへん。あっ、“Ritsガン”でしょう」
 と、立命館大のスピードガンが叩き出した球速であることをすぐに察した程である。そう、“Ritsガン”は“やや速目”というのが定説になっているのだ。(注:立命館大のスピードガンをけなしている訳ではないので、関係者は目くじらを立てないように)

 速い球を投げる、投げないに関わらず。投手は球速が気になるし、意識もしている。ただ、それはあくまでも一つの目安。最終的にはスピードガンが計る以上のキレやノビを求めているように感じる。
「速いに越したことないですけれども、打者に速いと思わせる方が大事」
 大半の投手はそう語る。

 まぁ、スピードガン・コンテストが優秀でも、勝てる投手じゃないと意味がないしね。自戒も込めて、あまりスピードガンの球速表示を鵜呑みにしてはイケナイ。あくまでも一つの目安。

夜中に目が覚めて

2003年5月20日
 ここ数日の日記で、よく登場している糸井嘉男投手(近畿大)。
 だいぶ取材慣れして来たのか?それとも、心を開いてくれているのか?かなり喋ってくれるようになった。

 リーグ優勝に王手をかけた立命館大を相手に、2戦連続の先発完投勝利。肉体的疲労(2試合で球数は294)は勿論のこと、大きな重圧の中で、精神的にもクタクタ。寮の自室にて、早々に床へ就いた。しかし、頭は興奮していた。浅い眠りから夜中の3:00頃に目が覚める。そこで糸井が取った行動は―。
「ラーメンを食べました。親が送ってくれた“ラ王”ですけど(笑)」
 プロ注目の糸井が夜中、眠ることが出来ずに。185?の大きな身体を折り曲げて、カップ麺をすする姿はなんか微笑ましい。そして、そんな他愛のない話しを自ら語るようになった。これまでは尋ねられたことに対して、ただ生真面目に応えるだけであったのに。投球内容同様、糸井が成長しているように感じるのは僕だけかな?

 また、試合中(関西学院大戦?)の“こぼれ話し”も語ってくれた。
「初めから完投するつもりでした。だから、打順が回って来そうな時は早く手袋をはめて、ヘルメットを被って。代打を出されないようにしていたんですよ」
 と、身振り手振りを交えながら糸井。
 近大・榎本保監督の
「いつ投手を代えようかなと、思っていたんですけれどもね。でも、糸井が最後まで行かせて下さい!って、サインを送っているような気がしたんですよ」
 というのは、このことやったんやね。

 ちょっと年齢の離れた、弟みたいな大学生が成長する姿を見届けられるのは非常に楽しい。また、ありきたりな言い方ではあるが、勉強にもなる。これからも大学野球の仕事はズーッと、続けて行きたいものだ。

 しかし、糸井君。夜中に“ラ王”はあんまり体に良くないで!って、書いたら…日清食品からクレームが来たりして!???


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 感謝ですm(_ _)m
 お金にならない仕事!?だけに、スゴイ励みになっております。
 今後も何卒宜しくお願い申し上げます。

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